10/23/2009

メビウスの橋と無限大の穴


さて、ここで重要な矛盾が見えてくる。
通常の無限大は、平面に描かれた線で表される。これがユークリッド幾何を通した目に見える形だ。
だが、その成り立ちには、先に示したメビウスの輪の要素が入り込むことで成り立っているともいえる。
前回、メビウスの橋をトポロジー的に限りなく細くしていくことそれをで示してきた。
この発想でユークリッド幾何を分析すると、矛盾は以下のようにいえるだろう。
平面に描かれた無限大は実は二つの穴であって、その穴をつないでいる輪郭の交点はねじれている。そして平面はこのねじれの交点を界に裏側にと通じている。
もちろん、実際紙に描かれた無限大はそうなっていない。いや、物理学の世界では成り立つのかもしれない。
それはさておき、思考の世界でこの、ユークリッド幾何学の矛盾をそれ自身の世界観・観点で暴くことできた。しかし、それ自身でユークリッド幾何外の世界観を解き明かそうとするのは限界のようだ。
過去、このような課題に取り組む人たちを随分見てきた。
例えば、ロシア構成主義の創始者であり美術家、彫刻家のナウム・ガボ。その作品には試行錯誤と練磨の跡が見て取れる。
絵画ではもちろん、M・C・エッシャーが先頭に立ち、日本人では彫刻家の堀内正和が挑戦している。


 



10/17/2009

メビウスの輪の変容(反転)

 前回、メビウスの輪と無限大の記号との関係について述べたが、その内容は言葉のイメージでは伝わりにくいと感じた。
そこで、今日は絵図でメビウスの輪の変容を示してみたいと思う。
 メビウスの輪の面半分をテーブルの面に沿って広げていった状態である。それは右の絵図の上から2段目で示している。
作り方はその上の絵図が示すように、紙に縦長のHを書き、それに切込みを入れ、その中央の紙辺を起こし、その端を互い違いに(a-a')貼り合わせればよい。
多少全体がゆがむが、実際の現物の方がより具体的に見えるので試作をお勧めしたい。
幾何学の比較的新しい考え方でトポロジーといった分野がある。面の要素が同じで、そのかたちを変化させることで、その中の不変の要素を導くことができる。
この面の要素を永遠に広げていけばメビウスの輪の反転を示すことになる。
 既にかなり変容を行なってきたが、さらに現物を元に直感を使ってトポロジーによる変容を行なってみよう。
3段目の絵図はお分かりになるだろうか、切込みを入れたHの線を曲線に変化させてみた図である。このイメージは紙では無理なので、曲面を生む材料でできている、例えばプラスチックやゴムシートのようなものを想像していただきたい。
このように見ると、その中央の橋がねじれ、表裏の空間が曲線を描きながらスムーズに一体となっている様が理解できるであろう。さらに、トポロジー的にその中央の橋をよりスリムにしていけば無限大へと戻る。

10/14/2009

無限大とメビウスの輪

 無限大は一本の線で表わされている。これをねじるとは、すなわち極限まで太さのない線をねじることを意味している。
この場合、以下のようにも説明できる。
「線の内側と表側が入れ替わっている、それも目に見えない極微の世界で。」
これを説明するには、やはりメビウスの輪の登場だ。
オランダの画家エッシャーはユークリッド幾何学から導かれる世界観の矛盾を絵画で示している。だまし絵として知られているが、実は彼の絵画はある真実の入り口を示している。我々の感覚が麻痺しているため、つい絵画にだまされるような感覚を覚える。
平面の世界で蟻は、その表も裏も一続きに歩いている。
本来、人が手を加えなければ一枚の紙の表裏が一体になることなどはありえない。
 以前、実験的にこのねじれた面を延長させて広げてみたことがある。限りなく広げテーブルいっぱいに面を拡張した。するとある不可能なことが分かってきた。
どこまで広げていっても一つの穴を埋めることができない。
しかもその穴の入り口の面はねじれており、裏と表側がつながっている。これはイメージも膨らませ、さらに地球全体をその平面で埋め尽くしていっても不可能だろう。最後に地球の反対側まで面を広げていたとしたら、究極的に小さな穴ができる。その穴が幾何学的に閉じるかどうか問題ではない。
むしろ、球という立体の内部と外部は一体であるという事実が浮かび上がってきた。
すなわち、球に限らず、あらゆるユークリッド的立体はその外部と内部がどのように密閉されていようと極微の世界において微小な穴を通じてつながっている、という思考の事実が現実化してきたのである。
内側と思っていた空間が外側でもある。この思考の事実はエッシャーの絵によく描かれている。
無限大の記号がねじれているのはこの内外空間の事実を示しているのではないかと思う。

10/13/2009

フォルメン線描と無限大記号

 フォルメン線描に円は見当たらない。そのほとんどが交差する曲線で表わされている。私が思うに、円もフォルメン線描の要素が含まれているが、それは上位概念の範囲になる。この線描の際立った特徴は交差する曲線で成り立っている点である。
その要素の最も単純化した形であり、構成単位(Module)といえばよいか、それは無限大という記号で示すことができる。この無限大、数学の記号で歴史上出てきたのは17世紀で比較的新しい。しかし、この記号を考えた数学者は、神秘学にも精通しており、彼のオリジナル記号ではない。もともと無限大を意味するエジプトかギリシャの古代文献から引き抜いたと思われる。この記号は八の字を横にしたものだ。線の状態ならフォルメン線描であり、円をねじったかたちでもある。
 しかし、ここでなぜねじっているか、という疑問が浮かんではこないだろうか。円はその出発点も終点も定かでなく、線の流れが永遠に続くことから、こちらの方も無限を象徴してはいないだろうか。
たしかに、円は無限を意味している、禅の修行でもこれを使って瞑想するし、曼荼羅には頻繁に使われている。また、ウロボロスの蛇も無限を意味している。自分の尾をくわえ輪になった蛇(ドラゴン)がそのいわれで、その終わりが始まりとなることから、次第に「永遠性」などの意味を持つようになったそうだ。
さりとて、この無限大記号、その円環をねじっているからには、別の意味を付加させているに違いない。

10/11/2009

フォルメン線描と水引


 フォルメン線描なりフォルメン画を立体で表わすことは、イメージ画でも実際にも容易にできる。実際、ひも状の材料を組む手芸の本も数多くある。その種類はアジアのパターンが実に豊富に載せられている。組み紐もその一部であるし、日本の水引はハットする美しさがある。
右に載せた写真は水引で、のし袋とは違うものに取り付けられていたものだ。色合いも美しいので手元に残しておいたほどだ。このフォルム(かたち)のパターンは、ほとんどケルト文様になっている。古来から引き継がれたパターンかどうかは分からない。
 ここで、このようなものを立体にするとは、そのフォルムの流れ自体を立体化すると言ったほうが良いだろう。水引によってできるフォルム(かたち)の帯は一本の線が複数平行に並列することで成り立っている。
 このあたり、直感的に分かるだろうか、本質的に、面の成り立ちと同調することが。
ユークリッド幾何学における面は、線を平行移動することで形成する概念である。
その観点からすれば、この水引は立体の範疇には入らない。だが、このフォルムの帯をユークリッドの平面と見なすならば、交差する帯と帯の隙間はほとんど空間が入る余地がない。とは言え、ありえるので若干面がゆがみ、立体となりえるのか。
 この点すでに矛盾が出てきた。そこで、次回はフォルメン線描をより単純化してこの課題を掘り下げてみたいと思う。


10/10/2009

フォルメン線描の変容



 フォルメン線描は主に線で描かれる。装飾として楽しむより、むしろ体験を目的としているからだろう。
ここではフォルメン線描の要素を変化させることで幾何学の話をほぐして説明しようと思う。そう、それによってプラトン立体やそれを成すユークリッド幾何学の矛盾を掘り下げることができるだろう。
 前回示した線描の図はほとんど細い紐の線で描かれており、その交差部分は線が交わっているように見える。
しかし実際の線描の、この手の描き方の形式から、線は交差していることが規則となっている。だからこの線描は途切れないで一筆書きとなっている。
 線描を太くした図を示してみよう。この図からケルト民族の文様が見て取れる。
その他の民族の工芸品にも現れているこのパターンには共通点がある。常に紐状の存在が互い違いに交差するのである。
 これを考えた民族には平面という概念が育ってはいない。と、言うよりも平面を我々とは異なる方法で見ていたといってもいい。後でゆっくり述べるが、私の発する平面も普通ではない。平面が渦を描いている。それはさておき、彼らはどう平面を捉えていたのだろう。
 例えば、四角い平面のみを描いてもらうようにお願いしてみよう。たぶん戸惑いながらこのように描くだろう。
戸惑うのは、四隅の角だ。それ以前に彼らが我々が描くように線で真四角を描くことには抵抗があることをあらかじめ言っおかねばならない。
本来この四隅の紐の輪によってできる交差は、連綿と続く形式の一部であり、彼らにとって四角は独立していない。その様な目的が見当たらないし、彼らは満足はしないだろう。
しかし、あえて描くならばこの様な図となる。四角そのものは、たとえ細い線となっていったとしても、考え方、想像のビジョンとしての四角の四隅は空間が紐にひきつけられて回転している。そして四角形の空間を見てほしい。紐である四つの辺は互いに交差しており、内部空間は左方向へと回転する。
 このフォルメン画でユークリッド幾何を端的に説明するならば、ここに描かれている紐を極限まで細くしていったものと捉えて良い。
本来、四角はこのようなフォルメン画で示したような空間になっている、とは言わない。しかし、線で描かれている様に空間が微動だにしないのは直感的に受け入れがたい。ましてや四隅の角は何らかのエネルギーを表わしてもよさそうである。
実際、これが量子力学の世界ならば、物質を成すエネルギーはフォルメン画のように揺らぎを示しているのだろう。
 このように見てきた古代の世界観は、自然の造形から受ける印象もそうであるが、自然からえられる材料で編んだり、織ったりする過程で培われたものだ。原初的ではあるが理にかなったエコロジカルな発想で、どの民族にも共通するゆえんである。
 では、このフォルメン画を立体で表現していくと、どのようなことが分かってくるのだろうか。
立体と言っても、浮き彫(レリーフ )ではない。レリーフではその裏側まで表現できないからだ。

10/06/2009

フォルメン線描


ケルト文様を始め、縄文土器、インカの装飾品の他、古代文明の文様には共通の世界観もしくは空間把握のパターンが存在する。
右の図はその共通の要素を抽出したパターンの一つで、フォルメン線描とも言われている。
シュタイナー教育ではこの線描を用いて繰り返しパターンを身に付け創作を行なっている。眺め、曲線を描き、その線の流れを思考に浸透させる。線を描くことでその周りの空間も同時に引き寄せていくことを感じる。その空間は自らの空間を突き抜け再び戻ってくる。
そうすることでこの線描には、人の思考をほぐす役割がある。
通常の社会生活の思考パターンでは、思考はややもすると周りの非有機的な空間に影響されて遮断された三次元空間へと押しこめられる。ドアを開けても常に同様の空間が永遠に続く。たとえ豊な自然の中におかれても思考の開放が継続することはまれである。
思考は本来、自分自身を常に見つめることでバランスを保つ。しかし空間の外に解き放つことのない思考は己がどのような状態か、何者なのかさえ知ることを困難にさせる。
我々文明はこのフォルメン線描を代表とする縄目式文様を単なる装飾というカテゴリーで収めている。しかし、そこにはユークリッド幾何学の概念とは異なった図柄によって、それらを想像する人々の幾何学的思考が読み取れ、いまだ知られていない知識や気付きを与えてくれる。それは宇宙観であり、そこから事物の力・エネルギーをどのように捉えているかが伝わってくる。





10/02/2009

建築の起源

 建築物においてドームは、技術的に最も難易度が高く、柱のない空間を天空に見立てることで、古代より主に神殿など特別な目的のための聖なる空間とされてきました。しかし建築の起源をさかのぼれば、聖なる空間には家族単位の住宅もあり、死者を祀る空間である墓にもありました。
 太古の時代、建築の始まりは洞窟にあるというのが一般的ですが、それは今日まで遺跡として遺されているからでしょう。実際洞窟は少数で、むしろ大半は樹の上が安全なので、蔦や木々の枝をからませて住んでいたのでしょう。そのあたりツリーハウスといってもいいでしょう。
 しかし、地上に建つ人工的な建築物となると異なります。死者はもう樹上には上がってきてくれません。そこで何らかの死者を祀るところを印で作る必要に駆られます。その印でありシンボルが単に小山から人工的な祠に発展した可能性は高いのです。この祠が地中に空間をつくり、定住民ならば何世代も繰り返すたびに拡大し、それに伴いその間に培った技術が住居に応用されていったのではないかと察します。
 紀元前以前のイタリアのある地中海の島には今でも円形状の石でできた集落の後が見受けられます。これは有史以前、アトランティス時代以降、その民族の末裔が住んでいた跡だと思います。

9/27/2009

プラトン立体

 この立体については、様々な情報があふれており、その範囲はスピリチュアルやミステリーの方面まで広がっている。
よって、ここでは実験で確かめられた結果を主に伝えようと思っている。
 確かに、ミステリーに富んでいる。ユークリッド幾何学は11巻からようや立体や正多面体について語り始め、13巻で未完で終わっている。未完というよりはそれ以上の情報がなかったのかもしれない。無理やりしめっくくっている。ユークリッド自らが解明に挑んだわけでなく編纂者であったのだから。
後に続く14・15巻はプラトン立体の性質から導かれる立体を分析した内容で、その中にはアルキメデス立体が含まれている。取り立てて新しい理論の展開は見られない。
 私は、思うにこのプラトン立体のミステリアスな部分は、はたしてユークリッド幾何的な解釈だけで探求できるものか疑問なのである。というのは、ユークリッド幾何自体、この世界である空間を示す幾つもある言語の内の一つのであるからだ。しかもベーシックとはいえ、矛盾にあふれている。どうして今まで人類はこんな言語でのみ文明を築いてきたのだろうか。いや待てよ、ローマが征服する前のケルト民族や日本のアイヌ民族などを始め、非ヨーロッパ文明の他の民族や文明はどうだっただろうか。
その視点から眺めれば、解明の手がかりは見えてくるのではないだろうか。

9/26/2009

これからの展開

 大別ではあるが、三つの構造様式について大雑把に述べた。
そして、歴史的な背景を幾何学という軸で手短に語ってきた。
ここからはそれをより詳しく具体的にしよう。
 幾何学とは、形と空間の言語である、という。
新たな構造様式を語っていくには、その根っ子を掘り下げ、本質的なところから始めていきたい。
そこで、幾何学的な内容を努めてわかりやすい言葉やイメージで表わしていこうと思う。
表層を断片的に繋ぎ合わせるよりは明確となるだろう。
多少時系列で構成するのもよいだろう。

以下、おおよその項目を立ててみた。
これに沿って話していこう。

  1. 神聖幾何学の中心に位置するプラトン立体(正多面体)の目的
  2. 相反する軸体
  3. これをなぜ軸体で構成するのか
  4. 正多軸体は揺らいでいる
  5. その揺らぎの形成過程におけるニュートラルな状態
  6. そのニュートラルな状態から導かれる特殊な座標軸構成
  7. 多軸体もしくは物質・エネルギー・光の織りなす構成
  8. その構成を決める核としての形態
  9. ゾーン多面体とは何か、その前にゾーンとは何か
  10. フラーの肩の上に乗る
  11. 球面の中心を分割するには
  12. 核となるゾーン多面体
  13. その外殻に存在する、エネルギーとしての連鎖(Nexus)
  14. ゾーン多軸体
  15. 第三の構造充填タイプ
  16. ドーム建築とは
  17. ドーム建築の課題
  18. 充填タイプの建築への技術転用
  19. 第三のドーム
  20. 建築様式の挿入
  21. 建築装飾
  22. 造形美
以上、多少題目に変更はあるだろうがストーリーの流れはできている。
美術について語るには一番最後になりそうだ。

9/20/2009

第三の構造による建築様式



構成する材が互い違いに組み合うことで成り立つ相互依存形式による構造は、材を単に接合するフレーム構造や積み上げることで成り立つ従来の構造とは区別する意味合いから、第三の構造という。
多様な空間構成の可能性に加え、組み立ての容易さや幅広い構成材料の可能性等の点で、緊急時や非常時の空間構造として注目されている。
典型的な特徴は,短期間に中空状の空間を設けることが可能なことである。さらに、その構造が柔軟でしなやかなことから、地震等の振動や衝撃に対して強度があり、従来のフレーム構造に勝る経済的な利点がある。
その原初的発想は、すでに中世ルネサンス時代のダ・ヴィンチ・グリットが端的に示している。しかもそれ以前より世界の広範囲で使用されてきたという。だが今日に至るまで、それは建築様式を生み出すほどには高められてはこなかった。それには幾何学的な進化を伴う必要があったからである。
第三の構造が注目され研究され始めたのは比較的新しく、ようやく20世紀末になってからであった。
今世紀に入り、この構造によってドーム型構築物を形成する研究がなされ、マルチ・レシプロカル・グリット・システム(The multi-reciprocal grid system)*1として発表されている。連結する平面パターンを湾曲させて立体を形成する。


第三の構造

第三の構造とは、相互依存形式の構造で、幾何学的には多軸体といいます。これに正多面体の規則性を与えることで正多軸体となります。
それ以外は、平面や曲面パターンの広がりに過ぎませんが、それらも第三の構造の範疇に入るでしょう。
個人的には、その上位概念においてテンセグリティーまで含めても良いかと思います。
なぜなら、歴史的にテンセグリティーの存在は多軸体の展開に導く移行期に当るからです。


この多軸体を設計するに規則性とシステムを導入する必要があります。
その一つの方法には、ジーン幾何学と融合させる方法です。
構造の中核にゾーン多面体を内包することで、ゾーン幾何学の性質を取り込み、立体が備えている最大限の変容能力を発揮することになります。
さらに、その構成要素である軸材を線材に変容させることで、テンセグリティーとなる他、格子空間を充填するまで軸材を変容させることで、ドーム型の構造物へと技術転換できます。


また同時期、この構造はプラトン立体に準じて構成することができることから、幾何学的には多軸体*2と命名されている。しかし建築への更なる適用には形態の変容システムを組み込む必要があった。 
球面幾何学と対極に位置するゾーン幾何学、それは単一の形態にとどまるジオデシック理論と異なり、驚くほど多様な形態を派生する。
このゾーン幾何学の派生形態であるゾーン多面体は、先の多軸体と結びつくことで、両者の特質が融合し、新たな形態と形成システムを有することになる。それがゾーン多軸体というものである。 
この種の構造、すなわち多軸体を中心とした相互依存形式による構造は、材を単に接合するフレーム構造や積み上げることで成り立つ、従来の構造とは区別する意味合いにより、第三の構造という。
その中でゾーン多軸体は、中空状の構造物を形成し、さらにその軸形状に変容を施すことで、恒久的な構築物への適用が見い出された。
この先紹介する構造物は、その幾重もの幾何変容による一例であり、その変容過程において私個人の恣意は一切介入されていない。
建築が構造そのものから装飾や有機的な造形を形成することが可能であり、それが様式美となることを示していきたい。


参考文献*1

[1] O.Baverel and M.Saidani,
{Retractable multi-reciprocal grid structure}
Journal of the International Association for Shell and Spatial
Structures.Vol.39.n.128,pp.141-146,1998
[2] O.Baverel and M.Saidani,
{The multi-reciprocal grid system} .
Journal of the International Association for Shell and Spatial
Structures.Vol.40.n.129,pp.33-41,1999.
[3] J.P.Rizzuto , M.Saidani and J.C.Chilton
{The self-supportng multi-reciprocal grid (MRG)}
Journal of the International Association for Shell and Spatial
Structures.Vol.41.n.133,pp.125-130,2000


参考文献*2

OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako , NAGATA Shojirou
形の科学会誌 = Bulletin of the Society for Science on Form 22(2), 199-200 ,20071101
OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako
FORMA 22(1), 93-102 ,20070601
OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako
形の科学会誌 = Bulletin of the Society for Science on Form 20(1), 112-113 ,20050601
OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako
形の科学会誌 = Bulletin of the Society for Science on Form 19(2), 258-259 ,20041101

9/13/2009

中世から近代へかけての神聖幾何学の展開

 中世以降、その多面体は神聖幾何学として発展し、天文・建築・芸術の分野に深く取り入れられてきた。その原理を用いて惑星の運行に関する法則を導き、建築ではゴシック様式の大聖堂が設計される。そしてドーム建築の頂点にサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が建設される。
この材料を積み上げることで構造を形成する、「第一の構造様式」は、19世紀に主流の座を去る。
 産業革命以降、鉄の大量生産に合わせ、新たな構造の潮流が現れる。材料を繋ぎ合わせることで構造を形成する、「第二の構造様式」である。 ユーグリット幾何の中心に位置する多面体幾何は、この新たな時代に向け、その研究が再開され始める。その結果、多様な形態の建築に影響を与えた。しかしそれはまだ全面的な展開を見せるには至らなかった。 20世紀の半ば、プラトン立体の解明は球面幾何学と結びつき、フラードームで知られているジオデシック理論が生み出された

これは第二の構造様式で最もエネルギー効率を高めた形態である。
その発展の中で現れたテンセグリティーという形態は、次なる構造様式に至る入り口であった。
 同時期、多面体幾何学の頂点にゾーン幾何学が君臨し始める。正多面体を成す基軸を分解することで解明された形態である。後に、この幾何学はユークリッド幾何の臨界点を示すと同時に、第三の構造様式にシステムを与える核となっていく。

9/07/2009

ユークリッド幾何の暗黒時代

紀元前3世紀にでき上がったユークリット幾何学は、我々の文明の基礎を作り上げてきた。
ところが、その幾何学の最終結論は、4・5世紀以降、約千年にわたって中断され、いまだに未完成にある。
 一説に、この幾何学の最終目的は、正多面体(プラトン立体)の解明に向けられていたという。一体何ゆえ、そのような立体の解明が必要だったのだろう。もし順調に解明が進んでいれば、どのような科学や芸術が展開していたのだろう。

6/21/2009

三つの構造

 第三の建築様式について語るにはそれ先立ち、構造が先行する。
様式とは、先にも述べたように人間で言うところの皮膚や外観、場合によっては文化的に異なれば衣装にたとえることができる。ここでの構造は骨格といえよう。
すなわち、建築を支える骨格が構造といえる。
 そこで、この構造から分類していこう。
先ず、第一の構造はレンガ積みの構築方法で材料は限定しない。石であろうと土の塊であろうと氷の塊であろうと。
 この観点からは、文化的・技術的な高度差は度外視される。すなわち、エスキモーの氷のドームもイスタンブールのアヤ・ソフィアもローマののパルテノンも同じ構造原理に基づいて出来上がっている。
専門用語で言えば組積造ともいう。

 第二の構造は、この積み上げるというよりはむしろ、組み立てるパターンである。近代の建築はこの手の構造が多い。産業革命と鉄時代以降、その構造は鉄骨を繋ぎ合わせてフレーム(平面)を作ることから始まっている。
 このフレームが立方体であろうとトラスであろうとその形態は問題ではない、幾何学的観点からはむしろその接合部の施しに注目すべきである。
 第二の構造では、フレームの平面を繋ぎ合わせて立体と成す。その後のパネルやコンクリートの流し込み、ウェット・ドライといった工法は2時的・3次的な要素である。
 正確に言えば、要点はその接合がユークリッド幾何学の観点から成り立っている点である。
具体的にいうと、その接合の核が座標軸の中点を示しており、各座標軸がフレームの材となる。
通常の座標軸構成は、直行3座軸が一般的である。すなわち建築物にしてみれば直方体の組み合わせの形態となる。
しかし、この座標軸構成が任意の角度に交差する場合はどうなるだろう。それに加えて3本以上の軸構成となればどうなるのであろう。
その形態はより自由度の高いものになることが直感として分かるだろうか。
 1960年代前後の建築でそれが出てきた。代表的なのはR.B.Fullerの考案したジオデシックドームだ。しかし、それ以外にもこの時代には建築の様々な試みが行なわれた。
今日多面体の研究が進み、既に建築ではこの手の発想による建築は出尽くされたといわれている。
そのとおり。多面体を従来の幾何学の発想で展開するには今の時代では限界ではないだろうか。少なくとも、新たな開拓者精神を望む者にとってはである。
 ここで幾何学的な解釈で避けて通れない点はある。それによってより理解が促されるからだ。
しかし、むしろ筆者は直感的な理解を促して行きたいと考えている。幾何学的な解釈は実は非常に直感に働きかけるもので、それが簡単に分かり合えるものと筆者は判断している。

 そこで、第三の構造に急ぎ入って行きたい。
その構造の初段階は極めて原始的な発想から成り立つだ。
これといった道具が発達していなかった時代、人は軸と軸を繋ぐため、今日のように穴を開けてボルトを通したり、「ほぞ」や「溝」など作ることができなかった。ほとんど、材料はロープで縛りつけるしかなかった。あるいは軸が竹の様に細くしなやかならば編むといったほうが良いだろう。
 ここでは前者のように軸の接合における発想がまったく異なっている。幾何学的には軸や材を線としてとらえた場合、線同士互いに交わっていない。もう少しこの線に太さを持たせれば分かるだろうか。
現実的に軸同士がその端部を共有することはないのだ。あくまでも材同士ずれている。このずれがあるからこそ、当然だが繊維状の構造を形成する。
 その代わり、数本の太い材が一極に集中して接合するようなことは困難だ。
例えれば、傘の骨の集中する箇所を形成するのは苦手だ。それに繊維が一箇所で玉になっては作業にならない。

建築に置き換えると、あの蛸の足のようなコネクタ(メロシステムジョイント)はありえない。
幾何的には、一極集中型が分散型に置き換えられるといったほうが適切だろう。
この点、トランスフォームするといった感じだろう。中心は中空状の空間となり、その周りを軸が交差して重なる。
といっても立体は想像しがたい。そのため、次に一旦平面的な段階に戻ってこの構造の原理について掘り下げてみよう。



6/15/2009

構造の分類

そこで建築の中心根に、ある根源的なイメージを与えてみたいと思います。それはとてもシンプルなものです。
 人類がイメージを物理的に現す場合、様々な方法があります。
分類すると、積み上げる、元々あったものを削ったり穴を穿つ、接続したりつなぎ合わせる、型に流し込みを行ない固まったら割り出す。あるいは織る、組合わせるなどです。
そしてそれらを大別すると三つに分かれます。

  1.  先ず第一は、塊のイメージです。積み上げるか、削り取るかでかたちを作り上げていくパターンです。
  2. は、この塊をより線に近づけた物質をイメージして形づくるならば、接合やつなぎ合わせのパターンとなります。
  3.  第三のイメージは、線ではあるものの物質を形作るのは互い違いに織る繊維状のパターンです。
以上三つのパターン以外にもかたちをつくる分類はあると思います。しかし、現時点では目的とする第三のパターンを明確に示すため三つに絞り込みました。
では次に、この三のパターンについて、一つずつ建築に照らし合わせて見ていくことにしましょう。