9/13/2011

新型ジオデシックドームの組立 Assembling the new Geodesic-dome

ドームは基本的に下から組み立てていきますが、今回のように部材が軽量ならば上部に当る部材から始め、持上げながら接合していきます。このほうが安全で効率が良いのです。高い脚立を必要とせず、部材を持っての上がり下がりの作業がありません。
ただ、今回の様に部材が自力でかなりエネルギーを使うほど固くしなりが少ない場合、下から組んで行った方が良かったのではと思います。その方が体重を利用して部材を楽に曲げることができるからです。

組立を見ていきましょう。
五角形を成す部材にあらかじめ組んでおいたグリット5枚を繋げます。
ドームの頂上部の組付け。
猫が興味深々に観察している。
 ここからWH 5本を繋げるとグリット全体が浮き上がってきます。
WH 5本に組立済みのグリット10枚を繋げる
自動的な浮き上がりでは接続が困難なため脚立を中心に立て宙に浮かせて行います。
その周りに次に接続するWHを5本置く
このあたりから脚立を接続する部材のあたりに移動ながら作業を行なっていきます。
五角形を形成する部材H5本の内2本を置く
このあたりから部材の識別が困難になってきました。やはり明確に識別できるように小口だけでなく端部数センチは色を塗っておくべきでした。間違えて取り付けてしまった箇所もありました。
それで模型を見ながら確認しての作業です。色で明確に識別できるならば簡単な絵図で判断できるのではないかと思います。
側面の五角形のグリットが出来上がる
このあたりからドームに付き物の横圧力が生じて側面の部材が広がろうとします。少しずつ内側にずらして形を整えながら作業して行きます。
それにともなって部材が思ったようにしならないため接続に困難を極めました。ロープを使ってグリットを絞りながら手繰り寄せるようにして接続箇所を合わせて行きました。かなりの筋力を必要としました。大変いい運動です。ほとんどジムの筋トレ。でも、この日はラチェット付きのベルトでも用意しておけばよかったと後悔してました。

下部の組み付け
ここまで作業して1日半。ゆっくりのんびり楽しみながらの作業に加え、来覧者や知人と話ながら休み々の作業だったので正確とは言えない。今回棕櫚縄による結束作業にはかなりの時間を割いてしまった。それでもネジに比べれば強固に固定されている。
2・3箇所しなりの強さに耐えられない部材にひびが入った。やはり気付かなかった節のあった箇所だった。
下部はまだ未完成なので開き気味。
ドームの真ん中にロープを張ってこの開きを調整している。
夕方にはドームのあたりにオーブが漂っていた。
部材が開きすぎて素手による接続作業が困難な場合上の画像が示すようにロープを使って手繰り寄せてみてください。たぶん二人作業ならば全く問題はないでしょう。上の画像はドーム下部のグリットを示していますがこのあたりはなぜか楽に収まります。
むしろ側面の中間部の方が困難でした。
作業3日目(9月9日)約16時間かけて完成
半径2750mmの円周上に下部グリットの垂直部材15本が位置します。ドームはこの時点で若干歪んでいるので、この正位置にグリットを定めることで完全な球形になります。
その作業を説明しましょう。
先ず、おおよその中心を定めて金属の細長い棒を打ち込みます。そして被覆針金を半径分コンパス代わりに伸ばしその棒にくくりつけます。
次に、コンパスの指す位置に垂直部材を手繰り寄せます。適当な長さの杭を15本用意してその位置に打ち込み固定します。ドーム下部が丸みを帯びてきます。
画像右側はそのようになっていますが、左側は杭がまだ打たれてなく手繰り寄せが甘い箇所です。
この位置決めは均等に円が描けていればどちらでも良いでしょう。

最後に入り口を作ります。画像左寄りのグリットに入り口を設けました。六角形を成すグリットの垂直部材を地面方向に延長し、余分な箇所を切り取って入り口ができます。約1.3m高なので低いですが、今回かさ上げする気力は残されていませんでした。
もし、かさ上げするならば杭を長めに残しておいてジャッキアップすれば可能です。しかしきれいに治めるならば、あらかじめ下部グリットの部材を延長しておくほうが良いでしょう。
延長の寸法はWHが75mmその部材向って右のHが62mmです。なお、WHの向って左のHは0mmとなります。

以上で長かった実験と試作の作業が終わりました。分析ではかなり困難を極め試行錯誤でしたが、道筋を見つければ後は楽で、組立は何とか予想通りに行きました。

今後は、年明けには更に完成度を高めたドームを別の箇所にて展示するため、その準備を進めて行く予定です。
またその間、このドームの一般化と普及を目的にデータのシステム化・マニュアルの作成も同時平行して行なっていきたいと思っています。

レオナルド・ダヴィンチがフラーと出会っていたら、「オレが考えたグリットでジオデシックドームを作ってみてくれ」と持ちかけていたに違いありません。しかしフラーの時代はまだ早かったのかもしれません。今の時代は空間の把握が全面的に代わる過度期にあたるような気がします。
そんなことで、この新しいタイプのジオデシックドームは単にダヴィンチ・ドーム(Da Vinci Dome)と命名しておいたほうが良いでしょう。

9/12/2011

新型ジオデシックドーム部材制作 The Component work of New geodesic -dome

部材は安価な木材を使いました。今回試作ということもあって、とことん低予算で行いました。接続のための棕櫚縄等を含め、総額1万5千円以内で収める事にしました。
木材はホームセンターで購入した赤松で4mの幅4cm、厚さ16mmで1本200円の品です。
後から気が付いたのですが、原産国ロシアです。最近は放射能に関する情報が容易に届けられるのでこういった木材にも注意が注がれています。チェルノヴィリ原発事故による木材の汚染です。外材で建てられた新築の家を購入する際は放射線値を計ってから購入したほうが無難です。実際すでに遅いのですが、かなり出回っていたそうです。
しかし、今回の原発事故でもっと身近な危険を感じるようになってしまいました。

さて、材料は赤松でしたが、これは選択時で失敗でした。杉に比べてしなりが弱くちょっとした節があると折れやすいのです。杉にしても無節で購入するのは困難ですが、できれば節は避けるべきです。
自然素材にこだわるならば、むしろ竹材がベストではないかと思います。孟宗竹を等分に割いて4~5cm幅で面取りすれば、かなり大きなドームまで可能ではないかと思います。その限界は下部のグリットがどれだけ自重に耐えられるかに因りますが。
今回、4mの材を3等分して長尺部材を切り出していきますが、このくらいの幅の材は大きな節があると使えないので無駄も出てしまいます。
お奨めの杉材を用いるのでしたら、幅が9cmの野地板がちょうど良いのではないかと思います。それならば多少節があっても折れることはないでしょう。

曲率はここでは図示するほどのことではないですが、一応簡単な目安を示しておきましょう。
部材のラインが設定の円周(大円)の一部ですので、部材の長さを円周で割って、それを360度で掛けると内角が導けます。
先ず、この角度を鋭角としてはさむ2辺を半径とし、部材の外方2つの穴を結ぶラインを底辺とする二等辺三角形を描きます。次にこの三角形の底辺の中心から延びる垂線の線分を求めてください。そして半径からこの線分を差し引いた長さが部材が曲がる時に必要な長さとなります。部材の両端を固定して上から人力で押し下げてその長さ分が程よく沈めばOKです。
部材の各所に接続用の穴を空けていきます。テンプレートを作っておくと楽です。
 4種類の部材を区別するため小口には水性ペイントで色付けしておきます。
小口だけでなく材を正面から見て識別できるように端部も塗っておくことをお奨めします。
今回組んでみて分かったことですが、組作業においてはグリット周辺を正面で見て作業します。そのため小口だけではほとんど識別しにくいのです。
これはバシャールのシンボルマークではないか・・・
組立前、2本とPH1本で組むグリットはあらかじめ組み立てておくと現場での作業が効率的です。
全部で60セットになります。

次に材の接合について説明しましょう。
今回、互いの穴を3mm釘で通して仮固定し、その後棕櫚縄1mで数回巻きつけて本締めとしまし
た。
釘は尖った方の端部を番線カッターで切り落として、切断部は接合部から出ないようにします。
できれば作業時怪我をしないようにその切断部はグラインダーで滑らかにしておいたほうが良いでしょう。棕櫚縄はくれぐれも水につけてから使用してください。結び方等についてはここでは省略します。

今回棕櫚縄で固定する選択を取った理由は、ある種のこだわりです。
できるだけ自然素材で特別な金具など使わないでもできるということを示してみたい。
それから、今だこの文明が見い出していないテクノロジーによる形態を電気がなくてもできるんだということを示してみたいという想いがあったからです。

材料の重さは約65キロ、これで直径5.5mの高さ3,3mのドームのグリットを組んでいきます。

車に積み込んだ日は台風12号の過ぎ去った後、この日は組立に取り掛かる前日です。
回の計画は、現代美術の野外展示が一つの目的でした。組立の現場は豊橋公園の城址跡地の空間です。台風の過ぎ去った後だったので初日は涼しく心地よい作業でした。

では次回、実際の組立に入っていきましょう。

9/11/2011

新型ジオデシックドームの模型制作 modeling of the new geodesic dome

模型の球面上には青いラインが規則的に交差しています。これは12・20面体を球に投射することで得られます。これらのラインはどれも同じで全周を10等分することで互いに交点を形成します。
交点間は36度でわかりやすいため、このラインを基に解析を行ないましたが、またこれを基に部材の組立を行います。
先ず最初に、解析に基づいて導かれた構造の寸法を示しておきましょう。

基本的には4種類の部材から成り立っています。
  • H:五角形を形成する部材 70本
  • P:六角形を形成する部材 30本
  • PH::五角形と六角形の部材を繋ぐ部材 30本
  • WH:六角形と六角形の部材を繋ぐ部材 20本
これに加えて、2種の短い部材がドームの底辺部に繋がります。
  • Hs:五角形を形成する部材 10本
  • Ps:六角形を形成する部材 5本
全部で165本、接続箇所は290もあるのでかなり地味で単調な作業を覚悟しなければなりません。
寸法は画像に記してあります。それは直径5500cm用なので、模型用には縮小しなければなりません。
おおよそ模型は25cmから30cmが扱いやすいので、220から183.3で割ってください。
部材の両端部は適当で部材幅でもあればよいです。
部材の素材は柔軟なものを選んでください。部材の長さは設定円の大円の一部なので弧を描きます。組んで行くに従って自動的に部材が弓なりになって行きますが、素材に柔軟性がないと部材同士の接続が困難になってきます。私はは手元にポリプロピレンの1ミリ厚の板があったのでこれを割いて使いました。竹材でも良いですが長さに対して固かったのでやめました。あるいはアクリル板を割いても使っても良いでしょう。

部材の穴は1ミリで各接続は銅線もしくは皮膜のなまし針金を使ってみてください。ペンチで丸くタマをを作って止めていきます。かなり細かい作業となります。
寸法出しは慎重に行なってください。1ミリの誤差でも全体に響いてきて球形の形がひずんできます。

部材の接合には規則性があります。
画像を良くご覧になるとわかるのですが、各部材が互い違いに交差しています。両端は必ず他の部材の上に重なり、それも中間部です。そしてもう一つの規則性は、その重なりは右回りとなるかその逆周りとなるかどちらか統一することで全体の形が出来上がるしくみです。
短い部材は接地面に位置するグリットを形成します。

模型が組み立てられたら固定するための底板が必要です。設定の円周を描き、その線上に垂直に立つ部材の位置を記します。
底板に対して垂直に立つ部材はWHが5本、Hが10本の合計15本です。
HH間は内角24.5度で5箇所
HWH間は内角23度で15箇所
以上を円周上に墨出しし、部材の位置に2箇所穴を開け針金を通して結束します。

なお、垂直に位置する部材はWHの向かって左のHのみ底板に接地しますが、他の部材はすき間を生じます。数ミリ程度なので模型の段階では気にするほどではありません。

では次回は実際に部材の制作を見ていきましょう。
素材は鉄や合成素材でもできますが、ここではどこでも容易に手に入る材料を使って示していきます。

9/04/2011

新しいジオデシックドームの試作・実験 Fabrication and experiment new geodesic dome


4月から取り掛かった新型ジオデシックドームの開発はなかなか進まなかった。
かなり古い資料とデータを整理し、頭を解析モードに持ってくるころには大変暑い季節に入ってしまった。
本格的には8月に入ってから始めたが、あまりの暑さで集中することが困難だった。
作業の8割は分析と幾何解析。残りの1割5分は模型制作。そしてようやく先週から1週間ほどで部材の加工・組立の準備が始まった。

ここで再度確認のため、この新型のジオデシックドームどう新型か説明しておこう。
従来のジオデシックドームはフラーの開発で知られているが、構成する支持材の接続が星状になる、いわゆる一点集中型であり、応力や荷重がこの一点の接続部に集中する。このためその接続部はかなり強固なコネクタなり、複雑な接続媒体が必要となってくる。
一方、新型はこの一点集中箇所を分散する方法を採っている。そのため接続箇所への応力は前者より軽減され、その結果軽量なコネクタや単純な接続方法が可能となってくる。しかし接続箇所を分散したことで、前者より接続箇所が多くなってくる。それによって作業効率はより低くなるかどうかはまだ判断ができない。これからの実験で徐々に見えてくることだろう。

上記の違いについては、最も分かりやすい外見上の違いを観点において述べた。だが、これを幾何学的・構造的・力学的場合によってはスピリチュアル的な観点からも説明できると思う。ただし今ここでは専門的すぎるため、その手の説明は過去ブログを遡っていただきたい。あるいは今後は他の方に譲ることにして、ここでは端的に示しておくに留めたい。なるべくこれからは読者のかたも同様に実験ができ、体感できる事を伝えることがいまの私の目的だと思っている。そして後々には読者の方が用意に制作・組立・アレンジできる方法を示して行きたいと思っている。
一応、ある程度予備知識のある方ならば、この新型ジオデシックドームはマルチレシプロカルグリットを用いたジオデシックタイプのドームであることは理解できるであろう。
歴史的な観点を強調すれば、レオナルド・ダ・ヴィンチのアイデアを発展させた構造を用いたジオデシックドームとも言える。あるいは幾何学的には非ユークリッド構造によるジオデシックドームと言っても良い。

私風に言えば、第三の構造でうんちくを傾けるところだ。だが、こんなものは何も新しいことではなく、人類が太古から編み出した柔軟で強固な繊維構造であって、自然科学的観点からすればその原型は原子核構造やDNA構造にあると思っている。
スピリチュアル方面では地球の周りには人の視覚では限界となって感知できないが、地球生成からの記憶層(アカシックベルト)といわれるものが存在している。これなどもある種のエネルギー体であってその構造はグリット状になっているという。そのグリットの空間はエネルギー体で渦を描いているだろう。その点などもこれから示していく構造とシンクロナイズしてくるだろう。
従来の専門家などは理解が及ばない分野を内包し、それらが技術をともなって開示されるであろう。そういった意味あいでは、時代的に”新しい”と言える。

幾何分析は直感を頼りに解決の道筋を見つけていく。球面幾何の他、ゾーン幾何や多面体の幾何(神聖幾何)を基に解析していく。それら幾つかの要素はお互いに関連しているため、総合的な判断にはより高度な技術と知識が必要となってくる。ここではその分析や解析など極めて専門的であるため、必要ならば別の機会に詳しく記述することにしよう。
分析・解析図

さて、それではさっそくドーム展開のストーリーに入っていこう。
先ず、ご存知のジオデシックドームをべースにし、これに相互依存形式の格子(マルチレシプロカルグリット、以下MRGと言う)を配置させていく。ドームは正12面体に対応する3フリークエンシー分割の多面体。そのままでも充分問題はないが、後々このグリットの接する支持材が垂直に配列されるように、この多面体にゾーンの要素を組み込んでおいた。
赤く示されたグリットの帯がゾーンの一つで同じような帯がこの多面体を6っ取巻いている。このゾーンで球体を二分することでゾーンが接地面に垂直に位置し、それに対応してMRGの支持材も垂直になるという狙いである。
次にグリットの分析である。球面上に位置することになる支持材の位置を幾何学的に求めるため、球の大円と小円上に上手く乗せる様に配置調整をする。
今回小円と大円の組み合わせによる方法を最初に採ったが、このやり方は相当骨が折れた。小円との兼ね合いには技術不足もあったが、むしろなるべく分析は単純にしたほうが良いと分かった。結果大円のみによる球面分割から位置を測定することにした。
そのためには、球の大円分割定規が必要になってくる。
この球形定規にはそれぞれの大円が交差する交点と交点の間の球内角が示されており、それを基に分析と解析を行なっていく。今回は主に画像の緑色の大円を用いる。
計算に基づいて模型を作ってみた。大きさは25センチぐらい。
今日はこのあたりでおしまいにして、次回は模型の制作と実験用部材の制作を紹介していきたい。
では、また。