古代文様における渦巻き紋(うずまきもん)や紐組み文様(組紐・結び)は、世界各地の先史時代から共通して見られる意匠です。これらは単なる装飾にとどまらず、自然への畏怖や命の再生、永遠の繋がりといった深い精神性が込められた普遍的なシンボルです。
まだ幾何学が未発達、あるいは必要ない時代に生きていた古代の人々、彼らが空間を把握する意識は現代人の様に3D的ではありませんでした。自然界の形態をつかさどる生命エネルギーの流れを直感的に把握し、その流れを意識の中で再構成し、それをあらゆる生活の場に刻んできました。
それらの文様の中には、今日の量子物理学で言うところのクオークの流れを示唆するものが見あたります。
顕著な例では、図1で示すケルト文様のトリニティー※3です。これはクオークの流れを端的に示唆するもので、三つのクオークが結びついて中央に三角形の結び目を作って空間を作っているパターンです。
| 図1 ケルト文様に見られるトリニティー |
今日の量子力学でクオークは粒子の点で観測されています。しかし古代の人々の直感に従えば、本来はすべてがつながった一体となるものが流動しているだけなのかもしれません。それが途切れることなくどこまでも続く文様で埋め尽くされ、装飾として現されています。
現在の観測技術では、クオークが結びついてようやく物質化する箇所に目を向けているため、私たちの視覚には部分的に観測したものだけが映るのかもしれません。
ここでは、技術の進展を予測して語ることはできないので、ここから幾何学的な考察を踏んで相似関係に迫って行きたいと思います。
図1のトリニティーが作る無空間に目を向けると、中央から外側の三方の無空間の中には小さな四つ組の結び目が見えます。クオークが物質ハドロンを形成する条件として2個以上のクオーク粒子が結びつくことで可能となるため、粒子が4個でも5個でも組み合わせによって様々な物質を形成することが出来ることとシンクロします。
この性質はあたかもクオークが強い力(グリューオン)で互いに引き寄せられて絞られた無空間に『渦』を発生する様子とシンクロします。
| 図3「抱きあわじ」の帯(連続体) |
ここまでは平面的な組紐パターンを見てきました。
では、組紐が立体になるとはどのような状態を示すのでしょうか。
現段階で立体とは閉じた空間とだけ言っておきましょう。今後段階を追って過程で、より詳しく見ていきますが、立体とは3Dすなわち3っの座標軸に沿って形成するものだけでなく、多数の座標軸によって形成されるものだと解釈を広げていきます。
では閉じた空間を形成する組紐を見ていきましょう。
閉じた空間といえば、球体や立方体をイメージします。ここでは紐組みの規則性が明確に分かるように、従来の幾何学のもっとも単純な形体である正多面体※4とその派生形体をベースにした組紐を取り上げてみましょう。
クオーク線の交差が平面であれば、虚無空間には2次元的な『渦』が認識されます。それが立体となると、『渦』は右回りと左回りが虚空間で相互に渦巻き中心に引き込まれるイメージとなるでしょう。
※3 ケルト文様の「トリニティ(トリニティ・ノット/トリケトラ)」は、3つの尖点を持つ結び目の文様です。ケルトの組紐(ノットワーク)を代表するデザインであり、「父・子・聖霊の三位一体」や「生・死・再生」、「過去・現在・未来」といった様々な「3」の概念を象徴しています。
※4 正多面体は古代ギリシャの哲学者プラトンにちなんで、別名「プラトン立体」とも呼ばれています。
古代ギリシャでは、この完璧な対称性を持つ5つの立体が、宇宙の根源(火・土・空気・水・天界)を構成していると考えられていました。現在でも、その美しさと数学的な完全さからデザインや自然科学など多くの分野で親しまれています。
※5 自然界の動植物や宇宙の構造、音、光などに見られる「数学的な比率やパターン」を、神羅万象の根源的な秩序や霊的なメッセージとして捉える概念です。古代から建築や宗教美術に用いられ、調和と真理を象徴するものとされてきました。