9/27/2009

プラトン立体

 この立体については、様々な情報があふれており、その範囲はスピリチュアルやミステリーの方面まで広がっている。
よって、ここでは実験で確かめられた結果を主に伝えようと思っている。
 確かに、ミステリーに富んでいる。ユークリッド幾何学は11巻からようや立体や正多面体について語り始め、13巻で未完で終わっている。未完というよりはそれ以上の情報がなかったのかもしれない。無理やりしめっくくっている。ユークリッド自らが解明に挑んだわけでなく編纂者であったのだから。
後に続く14・15巻はプラトン立体の性質から導かれる立体を分析した内容で、その中にはアルキメデス立体が含まれている。取り立てて新しい理論の展開は見られない。
 私は、思うにこのプラトン立体のミステリアスな部分は、はたしてユークリッド幾何的な解釈だけで探求できるものか疑問なのである。というのは、ユークリッド幾何自体、この世界である空間を示す幾つもある言語の内の一つのであるからだ。しかもベーシックとはいえ、矛盾にあふれている。どうして今まで人類はこんな言語でのみ文明を築いてきたのだろうか。いや待てよ、ローマが征服する前のケルト民族や日本のアイヌ民族などを始め、非ヨーロッパ文明の他の民族や文明はどうだっただろうか。
その視点から眺めれば、解明の手がかりは見えてくるのではないだろうか。

9/26/2009

これからの展開

 大別ではあるが、三つの構造様式について大雑把に述べた。
そして、歴史的な背景を幾何学という軸で手短に語ってきた。
ここからはそれをより詳しく具体的にしよう。
 幾何学とは、形と空間の言語である、という。
新たな構造様式を語っていくには、その根っ子を掘り下げ、本質的なところから始めていきたい。
そこで、幾何学的な内容を努めてわかりやすい言葉やイメージで表わしていこうと思う。
表層を断片的に繋ぎ合わせるよりは明確となるだろう。
多少時系列で構成するのもよいだろう。

以下、おおよその項目を立ててみた。
これに沿って話していこう。

  1. 神聖幾何学の中心に位置するプラトン立体(正多面体)の目的
  2. 相反する軸体
  3. これをなぜ軸体で構成するのか
  4. 正多軸体は揺らいでいる
  5. その揺らぎの形成過程におけるニュートラルな状態
  6. そのニュートラルな状態から導かれる特殊な座標軸構成
  7. 多軸体もしくは物質・エネルギー・光の織りなす構成
  8. その構成を決める核としての形態
  9. ゾーン多面体とは何か、その前にゾーンとは何か
  10. フラーの肩の上に乗る
  11. 球面の中心を分割するには
  12. 核となるゾーン多面体
  13. その外殻に存在する、エネルギーとしての連鎖(Nexus)
  14. ゾーン多軸体
  15. 第三の構造充填タイプ
  16. ドーム建築とは
  17. ドーム建築の課題
  18. 充填タイプの建築への技術転用
  19. 第三のドーム
  20. 建築様式の挿入
  21. 建築装飾
  22. 造形美
以上、多少題目に変更はあるだろうがストーリーの流れはできている。
美術について語るには一番最後になりそうだ。

9/20/2009

第三の構造による建築様式



構成する材が互い違いに組み合うことで成り立つ相互依存形式による構造は、材を単に接合するフレーム構造や積み上げることで成り立つ従来の構造とは区別する意味合いから、第三の構造という。
多様な空間構成の可能性に加え、組み立ての容易さや幅広い構成材料の可能性等の点で、緊急時や非常時の空間構造として注目されている。
典型的な特徴は,短期間に中空状の空間を設けることが可能なことである。さらに、その構造が柔軟でしなやかなことから、地震等の振動や衝撃に対して強度があり、従来のフレーム構造に勝る経済的な利点がある。
その原初的発想は、すでに中世ルネサンス時代のダ・ヴィンチ・グリットが端的に示している。しかもそれ以前より世界の広範囲で使用されてきたという。だが今日に至るまで、それは建築様式を生み出すほどには高められてはこなかった。それには幾何学的な進化を伴う必要があったからである。
第三の構造が注目され研究され始めたのは比較的新しく、ようやく20世紀末になってからであった。
今世紀に入り、この構造によってドーム型構築物を形成する研究がなされ、マルチ・レシプロカル・グリット・システム(The multi-reciprocal grid system)*1として発表されている。連結する平面パターンを湾曲させて立体を形成する。


第三の構造

第三の構造とは、相互依存形式の構造で、幾何学的には多軸体といいます。これに正多面体の規則性を与えることで正多軸体となります。
それ以外は、平面や曲面パターンの広がりに過ぎませんが、それらも第三の構造の範疇に入るでしょう。
個人的には、その上位概念においてテンセグリティーまで含めても良いかと思います。
なぜなら、歴史的にテンセグリティーの存在は多軸体の展開に導く移行期に当るからです。


この多軸体を設計するに規則性とシステムを導入する必要があります。
その一つの方法には、ジーン幾何学と融合させる方法です。
構造の中核にゾーン多面体を内包することで、ゾーン幾何学の性質を取り込み、立体が備えている最大限の変容能力を発揮することになります。
さらに、その構成要素である軸材を線材に変容させることで、テンセグリティーとなる他、格子空間を充填するまで軸材を変容させることで、ドーム型の構造物へと技術転換できます。


また同時期、この構造はプラトン立体に準じて構成することができることから、幾何学的には多軸体*2と命名されている。しかし建築への更なる適用には形態の変容システムを組み込む必要があった。 
球面幾何学と対極に位置するゾーン幾何学、それは単一の形態にとどまるジオデシック理論と異なり、驚くほど多様な形態を派生する。
このゾーン幾何学の派生形態であるゾーン多面体は、先の多軸体と結びつくことで、両者の特質が融合し、新たな形態と形成システムを有することになる。それがゾーン多軸体というものである。 
この種の構造、すなわち多軸体を中心とした相互依存形式による構造は、材を単に接合するフレーム構造や積み上げることで成り立つ、従来の構造とは区別する意味合いにより、第三の構造という。
その中でゾーン多軸体は、中空状の構造物を形成し、さらにその軸形状に変容を施すことで、恒久的な構築物への適用が見い出された。
この先紹介する構造物は、その幾重もの幾何変容による一例であり、その変容過程において私個人の恣意は一切介入されていない。
建築が構造そのものから装飾や有機的な造形を形成することが可能であり、それが様式美となることを示していきたい。


参考文献*1

[1] O.Baverel and M.Saidani,
{Retractable multi-reciprocal grid structure}
Journal of the International Association for Shell and Spatial
Structures.Vol.39.n.128,pp.141-146,1998
[2] O.Baverel and M.Saidani,
{The multi-reciprocal grid system} .
Journal of the International Association for Shell and Spatial
Structures.Vol.40.n.129,pp.33-41,1999.
[3] J.P.Rizzuto , M.Saidani and J.C.Chilton
{The self-supportng multi-reciprocal grid (MRG)}
Journal of the International Association for Shell and Spatial
Structures.Vol.41.n.133,pp.125-130,2000


参考文献*2

OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako , NAGATA Shojirou
形の科学会誌 = Bulletin of the Society for Science on Form 22(2), 199-200 ,20071101
OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako
FORMA 22(1), 93-102 ,20070601
OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako
形の科学会誌 = Bulletin of the Society for Science on Form 20(1), 112-113 ,20050601
OKA Reachlaw , KAWAMOTO Masako
形の科学会誌 = Bulletin of the Society for Science on Form 19(2), 258-259 ,20041101

9/13/2009

中世から近代へかけての神聖幾何学の展開

 中世以降、その多面体は神聖幾何学として発展し、天文・建築・芸術の分野に深く取り入れられてきた。その原理を用いて惑星の運行に関する法則を導き、建築ではゴシック様式の大聖堂が設計される。そしてドーム建築の頂点にサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が建設される。
この材料を積み上げることで構造を形成する、「第一の構造様式」は、19世紀に主流の座を去る。
 産業革命以降、鉄の大量生産に合わせ、新たな構造の潮流が現れる。材料を繋ぎ合わせることで構造を形成する、「第二の構造様式」である。 ユーグリット幾何の中心に位置する多面体幾何は、この新たな時代に向け、その研究が再開され始める。その結果、多様な形態の建築に影響を与えた。しかしそれはまだ全面的な展開を見せるには至らなかった。 20世紀の半ば、プラトン立体の解明は球面幾何学と結びつき、フラードームで知られているジオデシック理論が生み出された

これは第二の構造様式で最もエネルギー効率を高めた形態である。
その発展の中で現れたテンセグリティーという形態は、次なる構造様式に至る入り口であった。
 同時期、多面体幾何学の頂点にゾーン幾何学が君臨し始める。正多面体を成す基軸を分解することで解明された形態である。後に、この幾何学はユークリッド幾何の臨界点を示すと同時に、第三の構造様式にシステムを与える核となっていく。

9/07/2009

ユークリッド幾何の暗黒時代

紀元前3世紀にでき上がったユークリット幾何学は、我々の文明の基礎を作り上げてきた。
ところが、その幾何学の最終結論は、4・5世紀以降、約千年にわたって中断され、いまだに未完成にある。
 一説に、この幾何学の最終目的は、正多面体(プラトン立体)の解明に向けられていたという。一体何ゆえ、そのような立体の解明が必要だったのだろう。もし順調に解明が進んでいれば、どのような科学や芸術が展開していたのだろう。