11/09/2010

ジオデシック多軸体の試作

多軸体の設計には、その前提としてゾーン多面体(菱形多面体)Zohnohedronを知らなければなりません。これはゾーン幾何学として体系化されており、G.W.Hart氏のサイトで詳しく述べられています。
前世紀後半には体系化されましたが、それ以前は断片的に研究されたり、取り上げられたり、応用されていたりしました。ジオデシック幾何に関心のある方でも、なかなかゾーム(Zome)との関係にまで入っていく方は極めてまれかもしれません。
このゾームを開発したSteve Baer(ステーブ・ベイヤー)はゾーンの重要性にいち早く気付いた方です。これは人為的にシステム化されているというよりは、むしろ自然法則の一部を人間が見つけたといってよいかと思います。システムから導かれる形態のは多様性に富、ジオデシックとは比べることができません。両者はまったく異なる発想です。

しかし、今回の多軸体の試作には両者のシステムを融合して用いることにしました。
そもそもゾーン多面体は正確には球に内接や外接していません。その外殻はなんとなく球形ですが、若干凸凹となっています。
構成面数が多くなればそれだけ球に接して形態を形成しえますが、今回比較的少ない面数で構成するゾーン多面体を選びました。要するに面数に対応して軸数も同様に決まるためです。
軸数90本程度で構成する多軸体は、ゾーン多面体を核にして設計すると外殻が凸凹になってしまうと同時に多角形の構成で空間の格差が大きくなります(図を参照)。
これをデザインに応用する場合その目的にもよります。
今回はコネクタなしで安価に仕上げる予定です。それから目的として、格子(グリット)の大きさをそろえ、特に六角形のグリットを大きくしたいのです。意匠的に球形にして滑らかな輪郭にしたいと思っているのです。
そのため幾何学的な解析をかなり試さねばなりません。

幾何解析の手順は大変長いストーリーになり、設計者の私でもほとんど退屈になるのでここでは省きます。
短く端的に言うと、ゾーン多面体を球に内接させます。すると平面では当然成り立たない角度が出てきますが、これが後々軸が傾斜して交差する角度を生みます。
球に内接する度合いは無限にあり、具体的に上の図で示すと、五角形をなす五つ菱形の内角の総和が限りなく360度になる設定も可能です。この操作によって軸の太さや長さを自由に設定することが可能となるのです。

実際の試作をこれから画像で示していきましょう。
以下の三つ多軸体は前述の幾何解析によって設計したものです。
軸を延長させて自立できるようにしてあります。それぞれ位置が異なっており、色々試行錯誤して目的に合う位置を検討している様子です。

この位置では支持する軸が本体の真下内側に入り込んでいます。


軸が非対称となっています。
目的とする構成にいまひとつ追いついていない。

結局、グリットと軸関係、支持軸の構成など気に入らない点が多かったため、この設定はやめ、新たな設定を試みることにしました。

10/15/2010

ジオデシック多軸体の形成方法

早速、ジオデシック多軸体の形成に取り組んでみたいと思います。
多軸体そのものは、すでにお話したようにその範囲は ある程度広がりがあります。
その中でも今回取り扱う多軸体は、初めて切り出すにしては難易度が高いのではないかと思います。
しかし、それは設計についてであり、ここではその形成のしくみを順を追って述べることにしましょう。

多軸体の最小単位は、ダヴィンチ・グリットやオリバー・バベレルが示したように三本の軸が相互に重なって接続する三角形の格子です。
この最小単位をモジュールといいますが、これを連続してつなげていくと大きな面を形成することになります。この面は曲面を描き最終的には包まれた空間をつくります。
しかし、その最後のつながりが法則に従うように規則的になるかというと、そうではありません。
そのためには、あらかじめそうなるようなしくみを見つけなければなりません。
そうすることで、構造として確固とした要素を確保でき、その可能性を追求できるのです。

図1
球に対応する多軸体
通常初歩的には、そのしくみはプラトン立体の派生形態で分析できます。その場合アルキメデス立体の相対関係にある立体が取り上げられます。
図2と図3の二つの立体です。
多軸体の軸はその二つの立体の稜に準じる形で成り立っているように思われます。
多軸体はこの二つの立体の間を行き来する存在です。
残念ながら私たちの思考は、ユークリッド的な視覚が発達しすぎており、非ユークリット的に見ることは困難です。立体の稜線はあくまで仮定の存在です。多軸体の軸も仮定ではあるのですが、もう一つの空間を垣間見る存在でもあります。
図2
稜線の交わる頂点は点ではなく多軸体の様に交差する空間であるとも仮定できるのです。そうすることで新たな、視覚が芽生えてきます。
この空間を広げていくことで、逆に巨大なグリット空間が狭まっていきます。

図3
この様は、たぶんアニメーションで展開でき、どこかのサイトで見つけることができるでしょう。

問題は、多軸体が包み込む空間として成り立つ原理です。
そのためには、上記のような古典的な立体からでは解明できません。
ゾーン多面体という立体を核模型に据えるところから始めなければなりません。

図4

図4はゾーン多面体ですが、その中でも一般的ではありません。球に内接する体です。

そのためこの体を核模型とする多軸体は球に内接することになります。
これがジオデシック多軸体です。

10/03/2010

ジオデシカルな多軸体

さて、ここで多軸体のことに平行して、これから設計を行なおうとしている多軸体をご紹介しましょう。
幾何に近道はないですが、多軸体もしかりで本来基本から始めるべきなんです。
しかし、そのような教科書的な記述はWebサイトで後々まとめるとして、このブログでは現在取り組んでいる作業から要点を抜き取って示して行きたいと思っています。

前回お話したように、マルチ・レシプロカル・グリット(多数の相互に成り立つ格子)には幾何学的なシステムが不在で、その点が発展を妨げていました。
私の研究では、多軸体の種類は幾何学的に多数あり、徐々に整理を行ない、まとまり次第このブログで発表していこうと考えています。その種類というのは幾何システムになりえる多軸体の変容を意味しています。

例えば、これから示していこうとする多軸体は球形に準ずるもの、すなわちジオデシック理論によって分割したグリットに沿った骨組みの構成です。そのためには球面幾何による球の分割方法を知っておかねばならないのは大前提ですが、分割したグリットに多軸体の骨組みをどう沿わせて設計をするかが重要なポイントとなってきます。
そもそもこのグリットの骨組みは、3次元的にねじれた状態でつながっています。
そのため、構造を成り立たせているしくみが見えにくいのです。このねじれた空間を作り出す目に見えないもう一つのしくみを解明する必要があります。

そのしくみが見えなければ、ねじれた空間を形成することができません。
その場合グリットに沿う形でフレームワークはできますが、あくまでも軸状の立体交差を形成することはできず、線分を球面に描くフレームワークとなります。
そのような例が一つありますのでここで示しておきましょう。
板東孝明氏の設計によるフレームワークですが、帯状の材によって半球のドームを成り立たせています。
正20面体の各面を4分割して、球面に転じ、総三角形のグリットによる80面体が原型モデルとなっています。
そのグリットから線分を均一にずらしていくことで、レシプロカル・グリット(相互に成り立つ格子)ができます。
三角形はそのままですが、五つの線分の交点を中心に線分を外方向にずらすことで五角形の格子が、同様に六つの線分の交差からは六角形の格子ができます。
このようなフレームワークは、直感的に総三角形のジオデシックによるフレームワークより柔軟であり、その端部の接合はよりシンプルになることが分かります。
ただ、いかんせん物理的なドームとなると線材や帯状の材ではごく小規模な試作程度となりがちです。しかし、その材にある程度の強度を持たせれば用途が見い出せるでしょう。

話を先の多軸体に戻し、球面に準じた多軸体を呼びやすいように、以降ジオデシック多軸体(Geodesic Polyaxses)といっておきましょう。
ジオデシック多軸体とジオデシック多面体
この多軸体については、これから考察を深め、システム設計の手順や実施例など、記録にとどめていく予定です。

9/02/2010

相互依存幾何学

この夏の間は大変暑かったので、ほとんど思考を回転させる作業ができませんでした。そのためブログも一時お休みにしていました。

テンセグリティーから脱皮して、これからようやく多軸体構造の一種(Reciprocal grid system)に入ろうとしています。
ここで現在位置を確認しておきましょう。幾何学やら構造といったある種のかたちは相互関係で複雑になりがちです。ある程度ここでヴィジョンを明確にしておいたほうが良いでしょう。

下の図は、今まで扱ってきた内容のほか、これから関連する内容も含めた幾何学相関図です。
この図はそのすべてではありませんが、その半分ほどを切り取ったものです。

シェーマ図(概念の象徴的な図)で円形の交差で相関関係を示しています。
ここでは球面幾何学と相互依存幾何学が主となる世界を示しています。それぞれの円は他の大きな円と交差していますが、その円については後の段階となりますので現時点では省略しています。
ここで2つの幾何学は、非ユークリッド幾何学に含まれている大いなる世界の一部でもあります。

さて、すでに見てきたテンセグリティーは、単独ですと小さな円を描く概念ですが、ジオデシック理論とも関連し、幾何学的には球面幾何学といった大きな円に含まれます。その理由は、その原初的な形成原理が正多面体に依存していることが大きく、球面分割がそれを基に行なっているからです。

ダヴィンチ・グリットそしてこれから入っていくマルチ・レシプロカル・グリットさらに多軸体といった構造は、幾何学的に大きな円によって一緒くたに含まれます。それらの中にはもちろんテンセグリティーも含まれています。この大きな円はいまだ正式な名称で名付けられていません。幾何学的な思考を成り立たせるため新たな名称をつける必要があります。
そこで、私の長年の幾何学的な研究により、それらの相互依存によって成り立つ概念から、「相互依存幾何学」と命名することが適切であると思い至りました。

この幾何学は、ユークリッド幾何からの呪縛を視覚的にも解くことのできる力を持っています。
そういった意味では、今後未来に向けて、過去数千年来の空間把握の思考パターンからの開放がこの概念の発展でなされることを予感しております。それは覚醒した文明を新たに築くための思考がそこにあるからです。


7/14/2010

The Da Vinci Grid Ⅲ(roof system)

前回、オランダの彫刻家Rinus Roelofsダヴィンチグリッドでドーム構造を試作していることについて触れたが、さらにこれにアレンジを試みる人たちが他にもいる。
Glenn EasleyRikk Careyは、2008年、アメリカ、ネヴァダの Black Rock City で行なわれる芸術祭Burning Man でこのグリッドを応用した屋根構造を発表している。


In my last blog, I mentioned that Dutch sculptor Rinus Roelofs has experimented the prototype structure for the dome with the Da Vinci grid. But some other people also trying to arrange this.
In 2008,Glenn Easley and Carey Rikk exhibited the roof structure that has been presented by this grid in  America ,Nevada's Black Rock City Burning Man art festival.
Dome by the Da Vinci Grid
The view from the top and sides
Pattan of the Da Vinci Grid
もちろん建築の歴史上、この発想に関連する骨組みの構成については、古代より多岐にわったって持ち入れられてきた。それらに関しては以下の文献「Reciprocal Frame Architecture」でより詳しく紹介されている。


Of course, in the history of construction, the composition of the framework  related to this idea it has been used  variably from the ancient times.It is introduced about them in more detail by the following reference "Reciprocal Frame Architecture."


written by Olga Popovič Larsen
ここで、Reciprocal Frameとは何か端的に説明しておこう。
それは相互依存形式で成り立つ骨組みの構成であり、その適用は主に建築の構造である。概念的にダヴィンチ・グリッドもこれに含まれるといえる。
ただ、このReciprocal Frameは、幾何学的に平面構成を形成するのが特徴であり、おもに屋根のルーフィングとして用いられている。そのため建築構造上、屋根の構造を超える進展は見つけにくい。
Roelofsがダヴィンチ・グリッドを発表したのは、彼のウェブサイトによれば2003年だ。
だが、彼以前に既にこの発想の更なる展開に気付いた人物がいる。既にそのころにはReciprocal Frameの研究は知られる存在となっていた。


Here, I will explain some to be Reciprocal Frame directly. 
It is the composition of the framework realized in interdependence form, and the application is the structure of construction mainly.It may be said that the da Vinci grid is included in this conceptually.
However, it is the feature to form plane composition geometrically and this Reciprocal Frame is mainly used as structure of a roof. Therefore, it is hard to find the development beyond the structure of a roof on building construction.
According to Roelofs website, it is 2003 when he announced the da Vinci grid.
But, there is a person who has already noticed the further deployment of this way of thinking before him.The study of Reciprocal Frame has already come to be known at that time.

7/06/2010

Da Vinci Grids Ⅱ(Patern)

ダヴィンチ・グリッドの重要性に気付いた人の中に、オランダの彫刻家Rinus Roelofsがいる。彼は幾何学に詳しく、それを基に彫刻を行なっている。
彼がこのグリッドの研究を始めたのは前世紀末1989年のこと。既にこの頃から幾何学の他、異なる分野でこのグリッドに共通の認識が動きが出始めていた。それらが後に多軸体を見い出す要因となっていった。


Some people realized the importance of the Da Vinci Grid, Dutch sculptor Rinus Roelofs is one of them. He has intimate knowledge of geometry. His sculptures are based on it.
From this time ,it had already growing common recognition of this grid in different areas  of geometry.That had also  became a factor to find the multi-axis body( Polyaxes later.


Roelofsはダヴィンチが考えていたアイデアの他、さまざまなパターンを考案している。
ここに示す画像は彼ダヴィンチのスケッチからおこした模型である。多少アレンジしてある。
より詳しくは、彼のサイトもしくはレオナルド・スティックを参照していただきたい。
グリッドは単純なパターンが連結することで成り立っている。真ん中の模型はその一部を示している。そして右の画像のように半球を描くドーム型の構造が出来上がる。

Roelofs has devised different patterns of the da Vinci grid.
Images shown here are models made based on Da Vinci sketches. They have arranged a bit.For more details, please refer to
his site or the site of Leonardo sticks.
The grid is composed by connecting a simple pattern. The middle model shows a part. of it.
And the grid form structure of the hemispherical dome in the image on the right.





三角形や四角形をかたち作る最小単位(モジュール)を見てみよう。互い違いに交差する構造材の規則性によってモジュールは床から浮き上がり凸面を形成する。

Let's see the smallest unit (module) that make a triangle or square form.
By crossing each other structural materials, the module lifted from the floor and formed a convex surface.





ここで重要な幾何的イメージは、軸材が限りなく細くなっていった場合、そのモジュールは限りなく床と一体になろうとする点である。このイメージの更なる展開は、後にかたちがエネルギーを形成する段階において必要なことなので、現段階ではこの程度にとどめておこう。

The geometrical important image is that , if the structure material became infinitely thin , the module will be integrated with floor. But I'll have retained further development of this image in this level at this stage,because it will be necessary in the level in which forms form energy.

さて、このモジュールはドーム型の構造を作るが、このことはダヴィンチも知っていたに違いない。それは前回示した彼の橋構造(レオナルド・ブリッジ)のアイデアの延長である。
この頃の古典幾何学のレベルは幾何学者コクセター(Coxeter)が活躍する前、すなわち前世紀の前半とさほど変わりない。


Well, this module is the formation of dome-shaped structure, da Vinci must have been aware of it too.It is an extension of his idea of a bridge structure (leonardothat I showed last time.
Around the level of classical geometry was not so different from the first half of the last century,until geometer H.S. Coxeter  was active.

古典幾何に非ユークリッド的な思考が介入する前世紀末にいたって、ようやくその構造の意味するところが開示され始める。

The meaning of that structure begins to be indicated fairly finally at the end of the last century when non-Euclid idea intervenes the classics geometry.

その前段階として建築においてはさまざまな幾何学的な試みが行なわれた。その中でもフラーの仕事は単純でわかりやすいだろう。
そのエッセンスとしてのテンセグリティーの登場は複数の先駆者が関わっていることからして時代の要請でもあったといえる。

As a first step in achitecture,  various geometric attempts were done. Fuller's work in that might be simple and be comprehensible.
It can be said also that the appearance of the tensegrity as the essence was a calling of time even relations of two or more pioneers. 

6/16/2010

Da Vinci Grid Ⅰ(The entrance to the new structure)

これから話す内容は、私が独自に研究している構造に関することですが、この研究はすでに多くの先人達が歩んできた道でもあります。
その先達の肩の上に乗り、水平線に進路を定めることが私たちの使命であると考えております。

Now the talk is about the structure that I have studied independently. However, this study is also the way many seniors already have been through.
I believe our mission is to take the set course to the horizon on the shoulders of its predecessors.


さて、この構造に最初に気付いた先人は、ルネッサンス期に活躍した画家であり、発明家のレオナルド・ダ・ヴィンチでした。
彼は直感ですべてはほかのすべてとつながっていることを知っており、その構造の性質を理解していました。そして彼は、それを「コーッネーション」(連結)と呼んでいました。
それらはデッサンによって具体化され、手稿として今日まで残されています。

The Senior first noticed this structure was a painter and inventor Leonardo da Vinci who was active during the Renaissance.
He instinctively knew all that connected to everything else. And he understands the nature of the structure that the "Connessione" was called.
They are embodied by the drawings, has been retained so far as the manuscript(Codex Atlanticus).



この構造はダヴィンチ・グリッドといわれ、後世の人が名付けました。しかし、このスケッチが注目されたのは、ほんの10年ほど前です。それまでそれは彼の単なる幾何図形の考察しとて見なされ、その重要性はほとんど見逃されていました。
すでにあなたがダヴィンチに詳しい方ならご存知かもしれません。しかし、よく知られている木組みによる橋の構造とは異なります。ただ、その発想は先に示した幾何構造へとつながって行くことになります。

This structure is said Davinci grid . It was named by posterity. However , attention began to be sketched is just 10 years ago . Until then, it is considered that with the simple geometric shapes in his memorandum , and its importance was almost overlooked .
You may know if you are already familiar with da Vinci . But it is different from the structure of bridges ,that well- known  By half-timbered. However , that idea is going to lead to the geometry described above.
The Leonardo DaVinci Self-Supporting Arch Bridge
この橋は斜視図で描かれているため、比較的わかりやすいのですが、先の構造を描いたスケッチは平面でのみ示されているため、単なる幾何模様にしか見えません。
それにダヴィンチは、この構造を軍事的な発明にまで発展させることができなかったかもしれません。
そのため、平面的なアイデアにとどめておいたのでしょう。

Because this bridge is depicted in perspective view , it is relatively straightforward . However, the structure of the first sketche are shown only for the plane, it look aimless geometric patterns .
And da Vinci may be unable to develop a military invention  by this structure.
So he would put them in a plane ideas.

6/10/2010

テンセグリティー その10

四次元への移行
テンセグリティーの束の状態から展開した状態への変容は、幾何学的に1次元から2次元への変容であり、元の形態が3次元にあたります。
前々回は、これを植物のエーテル体に同調させて説明しました。
しかし、幾何学的な観点から新たな課題として、四次元が残っています。

再度、次元について簡単に言うと、「幾何学ではさらに展開するためのまったく異なる要素を次元として捉え、それを座標軸とすることで数学としても成り立つようにしています」。
構成要素としての軸の変容が四次元への入り口のようだと、前回いいましたが、それと同時にこの変容はユークリッド幾何的概念を変容させてくれる入り口でもあります。
今後、様々な変容例を示していくことで、今まで慣れ親しんできた皆さんの空間概念も少しずつ変化していくことを期待しています。

四次元となる座標軸は構成要素の変容です。その中においてテンセグリテーは変容の一形態に過ぎません。
ですから、変容の座標軸というより、今風に言えばウェブ上の「クラウド」の様に雲の中に点在しているといったほうがより近いかもしれません。

では、具体的に入っていきましょう。
テンセグリティーのテンション材は、コンプレッション材を物理的に維持するための要素です。
ここでは量子力学的発想をフル回転させることで、それを非物質させ磁気エネルギーとしてとらえてみましょう。そのエネルギーの強弱によって軸が互いに離れたり接したりすることの方がより本質に近づいていきます。

そのエネルギーを徐々に強めていきます。そうすることでコンプレッション材(軸)が互いに近寄り、最後は接することになって行きます。
幾何学的発想から逆の見方もできます。軸が徐々に拡大して太くなることによって互いに接することにもなります。
この例では、軸を円柱状と見なし、その延長部は省略し切断して見せています。
しかし、理論上は永遠に途切れなく宇宙空間につながっているのです。その延長は、さらに他の軸の延長と結びつくことで、ユークリッド的な解釈が成り立たない空間を作り出す可能性があります。

6/07/2010

テンセグリティー その9

テンセグリティーとエーテル体、そして花
この6弁の花びらは、3弁が一つの
単位となり繰り返されている。
前回、テンセグリティー樹木の関係について述べました。樹木の中を流れる生命エネルギー(エーテル体)の変容がテンセグリティーとシンクロナイズ(同調)する内容でした。
最後に、エーテル体の流れは植物の最上部において垂直方向から水平方へと転じることに触れました。

今回、そのエーテル体の流れが花となる点を、テンセグリティーで追って見ていこうと思います。

再び6本の軸によって構成するテンセグリティーを見てみましょう。
通常よくお目にかかるタイプです。
前回も触れましたが、その設計過程の初段階では核模型にゾーン多面体を用いています。ただ、この段階で設計方法は重要ではありません。
6軸によるテンセグリティー
この形態を前回は折り畳み、束状にしました。そして、その変容が植物の上昇を促していることについてお話しました。その際、テンション材の固定を緩めましたが、今回は逆方向に緩めていきましょう。
すると、前回とは異なり軸が徐々に開いて床に開放された状態になります。
テンション材を解き放ったテンセグリティーの花
テンセグリティーの花ができます。上昇エネルギーの転換は、テンション材となる要素を逆方向にゆるめることでなされます。
このあたりの動きが動画で示せないのが残念です。一般的なテンセグリティーの模型ならば容易に試すことができます。
先の束の状態から展開した状態への変容は、幾何学的に1次元から2次元への変容であり、元の形態が3次元にあたります。

すると4次元とは何でしょうか?
幾何学ではさらに展開するためのまったく異なる要素を次元として捉え、それを座標軸とすることで数学としても成り立つようにしています。
そうなると、やはり構成要素としての軸の変容が四次元への入り口のようです。それについては追々入っていくことにして、次に12本の軸によるテンセグリティーの場合を見てみましょう。

12軸によって構成するテンセグリティー
軸の端部をで示しましたが、その三本はそれぞれ平行に配置されています。この3本が四組それぞれ異なる方向から規則的に構成されることでこの形態は成り立っています。これも設計の初段階においてゾーン多面体を核模型に据えています。
さて、変容のパターンで先の例ではテンション材を滑らすことで緩めましたが、この場合中間の固定をはずして解き放つ感じにもって行きます。今回のパターンも直感で行いました。

緑の→で示した固定箇所は、テンション材の中間であり、軸の中間にも位置しています。それぞれの箇所を一斉にはずすと、その緊張は解き放たれて、全ての軸が床に伏します。
緊張の解けたテンセグリティーを持ち上げる

テンション材を解き放ち、床に伏したテンセグリティーの花

その伏した軸は4方向へと配列し、4弁の花とシンクロします。エーテル的には4方向へとエネルギーが解き放たれているといえます。
滑らせるパターンは、今回のこの構成では行なっていないのでわかりません。
4弁の花びら(ヤマボウシ)
その他、30本で構成するテンセグリティーについても若干テンション材の緩めるパターンが異なるものの、同様に1次元、と2次元的な収束と展開が可能なことが分かっております。
記憶は確かではないですが、R.B.フラーに関する文献に掲載されておりました。

次回、直感で言うところの4次元に入っていこうと思います。


5/27/2010

テンセグリティー その8

樹木の構造とテンセグリティー


樹木の構造は、セルロースリグニンそして放射状組織の三つの要素から成り立っています。
セルロースは木質繊維の細胞の骨組みを形成しています。繊維細胞の核となるのがセルロースで、曲げやたわみが可能で、非常に折れにくい管状構造です。木が曲がるとき一部の細胞は圧縮され、一部の細胞は引っ張られるかしますが、セルロースはその引っ張る力に抵抗する役目をしています。

一方、リグニンは樹木の自重から来る圧力や風雪で枝が曲がったとき繊維にかかる圧力に抵抗します。樹木の繊維であるセルロースを互いにくっつける・つなぐ役割をしています。
樹木を人間の体に例えると、「セルロース」は骨、「リグニン」は筋肉であるといわれています。
また、木をひとつのビルだとすると、「セルロース」は鉄骨であり、「リグニン」はその間をふさぐコンクリートにもたとえられています。

三つ目の放射状組織は樹の骨髄から樹皮に向って伸びていおり、幹にねじりや荷重がかかったときでも繊維が切れたり避けたりするのを防ぐ役割をしています。

参考文献:ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史
By ウィリアム・ブライアント・ローガン



樹木構造とテンセグリティーとのつながりが直感で見えてきます。
テンセグリティーの要素がよく人間の骨と筋肉にたとえられていますが、樹木の構造も同様にたとえることができそうです。
しかし、動物や植物もとなると鉱物も同様なのだろうかという疑問が直感で浮き上がってきます。
その点は後に追っていくことにして、ここでは植物に絞って見ていこうと思います。



植物の構造の三つ目の要素である放射状組織はセルロースの束のようなものです.
通常の固定型テンセグリティーでは何のたとえか分かりません。
しかし、テンセグリティーの要素は維持した状態で、形状を変容させていくことでそれが見えてきます。

一連の画像はテンション材の長さ(たとえれば量・力もしくはエネルギー)を一定にし、その端部の結合を緩めることでテンション材がすべり、テンセグリティーが折り畳たまれるさまを示しています。

この形態は6本の圧縮材から成り立っているパターンです。設計の核となるコアモデルは、上位概念にゾーン多面体が位置しています。
通常よく見かけるパターンですと、正六面体(これもゾーン多面体の範疇に入る)ですが、この画像では黄金比による菱形6面からなる6面体を核に設定しています。そのため最初の画像の展開した状態が幅に対して若干縦長になっています。
最後の画像は開いた上体を斜め上部から見たところです。

一連の折り畳み動作を繰り返している内に、植物の根から幹を伝わり上部へと流れるある種、視覚ではとらえることのできないエネルギーのようなものが感じられます。
たぶん植物のエーテル体と呼ばれているものでしょう。根から吸いあがる束状となったエーテル体が幹や枝を伝わり上昇し、最後には水平方向へと展開することで開花する花にたとえることができ、フラクタルが完結します。

4/20/2010

身体感覚による第三の構造(その2)

Luanne Rice; The Geometry of Sisters
甲野善紀氏は井桁理論の説明で平行四辺形を取り上げています。
第三の構造では、そのかたちは5角形でも6角形でもいいのです。

共通の特徴は、力の点を一箇所にしない、力点を分散させる骨組みなのです。ここがコツ(骨)なのだそうです。
このあたりを、今回は前回とは異なる身体感覚で説明したいと思います。

数人が集まって手を握り合い団結を誓います。
この場合、こぶしの上に重なるようにして手を載せて握ります。こうして拳による腕の結合がなされます。
拳の塊は人数分だけ大きくなり結合力もゆるくなります。




その下は、団結ではありません。互いに他の人の手首を握って輪を作っています。
こうして互いに握り合う、組み合うことで結合がなされます。この場合、結合する箇所は人数分となり、前者と違い分散されます。誰もが誰かを握ることで全員が結合しています。
これも団結の新しいシンボルになるかもしれません。

ここで、どちらの団結が強いのか比べてみましょう。この際友情とか感情は抜きにします。
特に、結合部の上部から重い荷重をかければ、すぐに想像できますが、明らかに拳の固まりの方は簡単にはずれてしまいます。

これを身体感覚から離れて構造に置き換えてみましょう。
その下の図が互い違いに組み合った構造で、第三の構造の典型例です。
6本の軸が互い違いに組み合っていますが、その接点は何らかの手段で結束なりして結合されているものと見なしてください。

そしてその下が、通常お目にかかるフレーム構造で、ここでは第二の構造と見なしています。
それぞれの力点には複数の軸が集中して、一見荷重を集中できそうですが、コア(核)が小さければねじ切れてしまいます。また引張りも同様です。そのため、のコア(核)は必然的に大きくなるか、小さくして強固にならざるを得ません。

前者は、複数の軸が互い違いに結合することで、軸の集まる中心に空間を作っています。
本来ならば、中心に集中しがちな荷重を外側に向けて分散する軸構成となっているのです。
それと同時に、この構成によって軸の受ける荷重は軸のしなりによって吸収されるしくみになっているのです。

一方後者のフレーム構造は、複数の軸より伝わる荷重が一点で相互に反発し合い成り立っています。
設計は比較的容易なのですが、荷重が軸材の端部に集中するため、中心のコアは複雑な形状になり強固な素材になりがちです。










4/17/2010

身体感覚による第三の構造(その1)

私は以前から第三の構造を語ってきました。構造様式・幾何学・建築を通じてです。
また時系列的には、その前段階にテンセグリイティーが位置していることを前回まで語ってきました。

今後も建築と関わりますが、これから個別のキーワードを通してより詳しく見ていこうと考えています。
たとえば、それはダヴィンチ・グリットやNexorades であったり、あるいはマルチ・レシプロカル・グリット(multi reciprocal grid)あったり、多軸体であったりします。

しかし、今回その出始めとして別の側面でも語ってみようと思います。
身体感覚を通しても伝えてみようと思うのです。

甲野 善紀氏の提唱する武術の運動理論に井桁崩しというものがあります。。井桁理論ともいいますが、この理論の言わんとするところは、身体にいくつかの支点を作る感覚なんだそうです。

実はその感覚が第三の構造と類似しているのです。
先ずは、その井桁理論の動画で見てみましょう


話を聞いても、井桁のモデルを見てもよく分からなかったというのが私の感想です。
たぶん氏自身も言葉では上手く説明しにくいのでしょう。
唯一、氏が強調していた、
  • 互い違いに動く
  • 同時並列的に動く
といった特徴に私は以前から惹かれていたのです。
構造は静止していますが、実際は重力や振動、その他自然環境の中におかれて動かされます。
振動を吸収するときに上記2つの特徴的な動きが第三の構造にも見られます。
次の動画を見ると、体の動きをともなって説明する氏の理論はわかりやすいです。
一箇所に支点を作って動くのではなく、支点を分散させて一斉に動くことで変化する身体の動きを
井桁にたとえているところです。

第三の構造とこの井桁理論には、ある箇所に共通の特徴があります。
しかし、その効果が井桁理論より導かれる身体運動と関係があるのかどうかまでは私には分かりません。今後、探求の進展如何でその答えが自ずと導かれることを期待しています。

3/30/2010

ジオデシック理論

テンセグリティーの変容を追うことで、軸組み構造という新たな展開となりました。
これからは、テンセグリティーに関する記述から離れますが、所々でまた触れるかと思います。

ところで、テンセグリティーの項ではジオデシック理論についてはほとんど記述しなかったので、ここで私なりに見解を付け加えておきたいと思います。

バックミンスター フラーのジオデシック理論
ジオデシック理論とは、幾何学的には球面をプラトン立体の規則性によって分割し、さらにそれを三角形に細分割するところにある、単純なアイデアです。 フラーは、主にこの2つの幾何を用いているのみでした。
端的に言えば、初歩的なプラトン立体を基軸にした別名、神聖幾何を球面に転写したパターンです。

あの、古典幾何学者コクセターに言わせると、フラーほとんど幾何学については初歩的な知識しか身につけていなかったそうです。 そのため、テンセグリティーの解析にまでは至らなかったのでしょう。むしろライバルのスネルソンの方が幾何学的解析能力には長けていたようです。 フラーはむしろ単純なアイデアを膨らませる能力には長けていたようです。

 
ちなみに、ジオデシック理論やジオデシックドームはフラーの発明ではありません。1922年ドイツ人のウォルター・バウアーフェルトがイエナのカール・ツァイス社の屋上にジオデシックドームを建設しています(左の写真)。
フラーは1950年代になって初めて特許を取得しています。

その右の写真は、フラーとジョージ・サダオによるモントリオールEXPO1967アメリカ館です。
私個人としては、フラーのアイデアを膨らませる能力については学べきことが多いと思っています。
しかし、フラードームに関しては、構造的に決して効率が良いとはいえないので。現在ほとんど興味の対象外となっています。
重力以外、多方向から荷重がかかる条件下では最大に力を発揮するものだと思います。

球形はどうしても横圧力が側面にかかり、サイドの構造をかなり補強しないと持たないものです。あのローマのパルテノンほどではないにしても、EXPO1967のアメリカ館はかなり見えない箇所で骨材の肉厚を調整しているそうです。

この点、無理に球形にこだわらなくても良いのではないかと思います。デザイン的には単一の形態以外の何ものでもないので、自由度が低い点どうしてもこれにこだわる理由が薄れてきます。
その点、効率云々でいうなら、私はむしろアントニオガウディーの主張するフニクラ構造の方に惹かれます。

後に続く軸組みの構造でもこのジオデシック理論について若干触れる予定です。

3/19/2010

テンセグリティー その7

テンセグリティーからの脱皮 
前回、テンセグリティーの変容を断片的に取り出しました。
できれば、その変容する過程をアニメーションで示すことができれば理想的です。
そうすれば、テンセグイティーの無限大に循環する過程が視覚的に理解できます。

しかし、私にはそんなスキルはないため、その一連の変容を絵図で用意しました。
イギリスで構造を研究しているオリバー・ヴァベレル氏の論文からです。
文献は2007年「Nexus Network Jounal]の281ページから298ページです。

タイトルのNexoradesとは、軸組みの構造の古い呼び名だそうです。
ここでは、今のところ混乱を避けるためその呼び名はとどめ、単に軸組み構造としておきましょう。
そのヴァヴェレル氏が、プラトン立体の双対関係における変容を軸組み構造で示しています。

研究の内容は1997年ですからかなり以前となります。既にこのころから、”100匹目のサル”にたとえられますが、各所で類似した内容が出始めています。
私の情報では、やはり欧米の方がこの手の研究は進んでいます。

さて、注目すべき一連の図で、最初に出ているのは289ページの図20~図28です
全部で9図あり、最初の図20が正20面体を示していることは明確かと思います。それぞれの頂点は軸が回転してずれており、中心に空間があります。
変容は徐々にその軸を太くすることで頂点にあたる三角形の空間が広がっていきます。
それに対し、五角形の大きな空間は逆に小さくなっていきます。
この場合軸は太くはなっていきますが、見やすくするためその長さは省略してあります。




図25では、既に三角形の空間が五角形の空間を押し縮めています。
この時点で図の大きさは同じですが、その軸はかなり太くなっており、全体の大きさは相対的にかなり大きくなります。
逆に、軸の太さを一定の設定にした場合、全体の大きさは相対的にかなり小さくなります。

後者の方がより自然に感じます。別の言い方をすれば、図20の時点で軸が互いに中心に向って回転しながらずれていくので、全体は徐々に小さくなっていくのです。
ここでは取り合えず、先の設定で話を進めましょう。

図25の時点で軸の太さは限界に達します。これ以上軸を太くしても同じ構成となります。
ちょうど五角形と三角形の空間がつり合っているからです。
変容のニュートラルな状態です。


三角形をより大きくするには、この時点からは軸を細くしていきます。
図26になると正20面体が見えてきます。そして最後の図28でほぼ完全にフレームワークの正20面体となります。

このまま軸を限りなく細くしていくことで、ユークリッド幾何の世界に入っていきます。
そこでは三角形が限りなく平面で、頂点は限りなく点に至っています。
しかし、この軸組み構造の発想の下では、三角形の空間や頂点の微小な空間はねじれ、回転しているのです。

現実の空間と言っても、量子の世界においては、このような空間に近いのではないかと直感的に思うのです。まさか平面のように思われる空間が真平らであることは自然界にはありえないからです。

残りの2つの双対関係にある立体も、この軸組み構造の下、互いに変容することが後の図で示されています。正四面体は、それ自身上下逆さになることで双対を繰り返しています。

次回、テンセグリティーを離れ、この軸組み構造に入っていきましょう。
かなり広範囲に及ぶため、できれば最初の段階で具体的な方向を示すことができれば良いかと考えています。




3/13/2010

テンセグリティー その6

テンセグリティーの変容
テンセグリティーの細い圧縮材と張力材からなる形態をおもいきって変化させてみましょう。
そうすることで別の側面が見えてきます。

これは、非ユークリッド幾何への入り口だと思います。
この幾何学は、現時点で、その名のとおり非日常的空間と、思っていただいてかまいません。
しかしこの空間意識は、ユークリッド幾何のそれより、より自然に近い解釈だといえます。
その点は別の機会にお話しましょう。

変容のもっとも典型的な例から示していきましょう。
前々回扱ったテンセグティーのモデルです。
単純な方から行きます。

プラトン立体の正4面体が変化する中間に位置するテンセグリティー。
そしてその下の図は、その圧縮材をかなり太くしていった形態です。
張力材はまったく無視します。ここでは空間のイメージを優先しましょう。


テンセグリティーが転がって写っているため、その変容した形態との位置が若干ずれ、各要素の構成がつかみにくいかと思います。

次は、正6面体と正8面体とが互いにかたちを入れ代わる中間に位置するテンセグリティー、
そしてその圧縮材を太くしていった例です。


これも若干位置がずれていますが、同調するところを見つけるのは平行する3本の圧縮材です。
やはり、同じ位置で写っている写真を用意すべきでした。
しかし、何とか同調している様子が把握できればと思います。

最後は、正12と正20面体の双対関係の中間に位置するパターンです。


これも同調を判断するポイントがあり、平行に位置する5本の圧縮材を見定めます。

以上、基本を示してきましたが、その中でポイントとなる点がありました。
それは平行に位置する圧縮材です。
それぞれ本数が異なり上から2本、3本、5本となっています。
お気付きの方もいるかと思いますが、他の構成材も同様に平行の構成に組み込まれています。
これが変容のちょうど中間に位置する目印となります。

次回、この変容をより具体的に見ていきましょう。
一連の変容を示した文献があり、参考になるかと思います。
この研究は、すでに前世紀の末に始められたので、私の情報では比較的新し方です。

この一連の変容によってプラトン立体の本来の形態が見えてくることになります。
それによってユークリット幾何の限界が目に見えるかたちで認識されるものと察します。
ひいては、それが皆さんにとって、空間の非日常的な認識へと至る入り口になればと願っています。