樹木の構造は、セルロースとリグニンそして放射状組織の三つの要素から成り立っています。
セルロースは木質繊維の細胞の骨組みを形成しています。繊維細胞の核となるのがセルロースで、曲げやたわみが可能で、非常に折れにくい管状構造です。木が曲がるとき一部の細胞は圧縮され、一部の細胞は引っ張られるかしますが、セルロースはその引っ張る力に抵抗する役目をしています。
一方、リグニンは樹木の自重から来る圧力や風雪で枝が曲がったとき繊維にかかる圧力に抵抗します。樹木の繊維であるセルロースを互いにくっつける・つなぐ役割をしています。
樹木を人間の体に例えると、「セルロース」は骨、「リグニン」は筋肉であるといわれています。
また、木をひとつのビルだとすると、「セルロース」は鉄骨であり、「リグニン」はその間をふさぐコンクリートにもたとえられています。
三つ目の放射状組織は樹の骨髄から樹皮に向って伸びていおり、幹にねじりや荷重がかかったときでも繊維が切れたり避けたりするのを防ぐ役割をしています。
参考文献:ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史
By ウィリアム・ブライアント・ローガン
テンセグリティーの要素がよく人間の骨と筋肉にたとえられていますが、樹木の構造も同様にたとえることができそうです。
しかし、動物や植物もとなると鉱物も同様なのだろうかという疑問が直感で浮き上がってきます。
その点は後に追っていくことにして、ここでは植物に絞って見ていこうと思います。
植物の構造の三つ目の要素である放射状組織はセルロースの束のようなものです.
通常の固定型テンセグリティーでは何のたとえか分かりません。
しかし、テンセグリティーの要素は維持した状態で、形状を変容させていくことでそれが見えてきます。
一連の画像はテンション材の長さ(たとえれば量・力もしくはエネルギー)を一定にし、その端部の結合を緩めることでテンション材がすべり、テンセグリティーが折り畳たまれるさまを示しています。
この形態は6本の圧縮材から成り立っているパターンです。設計の核となるコアモデルは、上位概念にゾーン多面体が位置しています。
通常よく見かけるパターンですと、正六面体(これもゾーン多面体の範疇に入る)ですが、この画像では黄金比による菱形6面からなる6面体を核に設定しています。そのため最初の画像の展開した状態が幅に対して若干縦長になっています。
最後の画像は開いた上体を斜め上部から見たところです。
一連の折り畳み動作を繰り返している内に、植物の根から幹を伝わり上部へと流れるある種、視覚ではとらえることのできないエネルギーのようなものが感じられます。
たぶん植物のエーテル体と呼ばれているものでしょう。根から吸いあがる束状となったエーテル体が幹や枝を伝わり上昇し、最後には水平方向へと展開することで開花する花にたとえることができ、フラクタルが完結します。