4/20/2010

身体感覚による第三の構造(その2)

Luanne Rice; The Geometry of Sisters
甲野善紀氏は井桁理論の説明で平行四辺形を取り上げています。
第三の構造では、そのかたちは5角形でも6角形でもいいのです。

共通の特徴は、力の点を一箇所にしない、力点を分散させる骨組みなのです。ここがコツ(骨)なのだそうです。
このあたりを、今回は前回とは異なる身体感覚で説明したいと思います。

数人が集まって手を握り合い団結を誓います。
この場合、こぶしの上に重なるようにして手を載せて握ります。こうして拳による腕の結合がなされます。
拳の塊は人数分だけ大きくなり結合力もゆるくなります。




その下は、団結ではありません。互いに他の人の手首を握って輪を作っています。
こうして互いに握り合う、組み合うことで結合がなされます。この場合、結合する箇所は人数分となり、前者と違い分散されます。誰もが誰かを握ることで全員が結合しています。
これも団結の新しいシンボルになるかもしれません。

ここで、どちらの団結が強いのか比べてみましょう。この際友情とか感情は抜きにします。
特に、結合部の上部から重い荷重をかければ、すぐに想像できますが、明らかに拳の固まりの方は簡単にはずれてしまいます。

これを身体感覚から離れて構造に置き換えてみましょう。
その下の図が互い違いに組み合った構造で、第三の構造の典型例です。
6本の軸が互い違いに組み合っていますが、その接点は何らかの手段で結束なりして結合されているものと見なしてください。

そしてその下が、通常お目にかかるフレーム構造で、ここでは第二の構造と見なしています。
それぞれの力点には複数の軸が集中して、一見荷重を集中できそうですが、コア(核)が小さければねじ切れてしまいます。また引張りも同様です。そのため、のコア(核)は必然的に大きくなるか、小さくして強固にならざるを得ません。

前者は、複数の軸が互い違いに結合することで、軸の集まる中心に空間を作っています。
本来ならば、中心に集中しがちな荷重を外側に向けて分散する軸構成となっているのです。
それと同時に、この構成によって軸の受ける荷重は軸のしなりによって吸収されるしくみになっているのです。

一方後者のフレーム構造は、複数の軸より伝わる荷重が一点で相互に反発し合い成り立っています。
設計は比較的容易なのですが、荷重が軸材の端部に集中するため、中心のコアは複雑な形状になり強固な素材になりがちです。










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