10/03/2010

ジオデシカルな多軸体

さて、ここで多軸体のことに平行して、これから設計を行なおうとしている多軸体をご紹介しましょう。
幾何に近道はないですが、多軸体もしかりで本来基本から始めるべきなんです。
しかし、そのような教科書的な記述はWebサイトで後々まとめるとして、このブログでは現在取り組んでいる作業から要点を抜き取って示して行きたいと思っています。

前回お話したように、マルチ・レシプロカル・グリット(多数の相互に成り立つ格子)には幾何学的なシステムが不在で、その点が発展を妨げていました。
私の研究では、多軸体の種類は幾何学的に多数あり、徐々に整理を行ない、まとまり次第このブログで発表していこうと考えています。その種類というのは幾何システムになりえる多軸体の変容を意味しています。

例えば、これから示していこうとする多軸体は球形に準ずるもの、すなわちジオデシック理論によって分割したグリットに沿った骨組みの構成です。そのためには球面幾何による球の分割方法を知っておかねばならないのは大前提ですが、分割したグリットに多軸体の骨組みをどう沿わせて設計をするかが重要なポイントとなってきます。
そもそもこのグリットの骨組みは、3次元的にねじれた状態でつながっています。
そのため、構造を成り立たせているしくみが見えにくいのです。このねじれた空間を作り出す目に見えないもう一つのしくみを解明する必要があります。

そのしくみが見えなければ、ねじれた空間を形成することができません。
その場合グリットに沿う形でフレームワークはできますが、あくまでも軸状の立体交差を形成することはできず、線分を球面に描くフレームワークとなります。
そのような例が一つありますのでここで示しておきましょう。
板東孝明氏の設計によるフレームワークですが、帯状の材によって半球のドームを成り立たせています。
正20面体の各面を4分割して、球面に転じ、総三角形のグリットによる80面体が原型モデルとなっています。
そのグリットから線分を均一にずらしていくことで、レシプロカル・グリット(相互に成り立つ格子)ができます。
三角形はそのままですが、五つの線分の交点を中心に線分を外方向にずらすことで五角形の格子が、同様に六つの線分の交差からは六角形の格子ができます。
このようなフレームワークは、直感的に総三角形のジオデシックによるフレームワークより柔軟であり、その端部の接合はよりシンプルになることが分かります。
ただ、いかんせん物理的なドームとなると線材や帯状の材ではごく小規模な試作程度となりがちです。しかし、その材にある程度の強度を持たせれば用途が見い出せるでしょう。

話を先の多軸体に戻し、球面に準じた多軸体を呼びやすいように、以降ジオデシック多軸体(Geodesic Polyaxses)といっておきましょう。
ジオデシック多軸体とジオデシック多面体
この多軸体については、これから考察を深め、システム設計の手順や実施例など、記録にとどめていく予定です。

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