部材は安価な木材を使いました。今回試作ということもあって、とことん低予算で行いました。接続のための棕櫚縄等を含め、総額1万5千円以内で収める事にしました。
木材はホームセンターで購入した赤松で4mの幅4cm、厚さ16mmで1本200円の品です。
後から気が付いたのですが、原産国ロシアです。最近は放射能に関する情報が容易に届けられるのでこういった木材にも注意が注がれています。チェルノヴィリ原発事故による木材の汚染です。外材で建てられた新築の家を購入する際は放射線値を計ってから購入したほうが無難です。実際すでに遅いのですが、かなり出回っていたそうです。
しかし、今回の原発事故でもっと身近な危険を感じるようになってしまいました。
さて、材料は赤松でしたが、これは選択時で失敗でした。杉に比べてしなりが弱くちょっとした節があると折れやすいのです。杉にしても無節で購入するのは困難ですが、できれば節は避けるべきです。
自然素材にこだわるならば、むしろ竹材がベストではないかと思います。孟宗竹を等分に割いて4~5cm幅で面取りすれば、かなり大きなドームまで可能ではないかと思います。その限界は下部のグリットがどれだけ自重に耐えられるかに因りますが。
今回、4mの材を3等分して長尺部材を切り出していきますが、このくらいの幅の材は大きな節があると使えないので無駄も出てしまいます。
お奨めの杉材を用いるのでしたら、幅が9cmの野地板がちょうど良いのではないかと思います。それならば多少節があっても折れることはないでしょう。
曲率はここでは図示するほどのことではないですが、一応簡単な目安を示しておきましょう。
部材のラインが設定の円周(大円)の一部ですので、部材の長さを円周で割って、それを360度で掛けると内角が導けます。
先ず、この角度を鋭角としてはさむ2辺を半径とし、部材の外方2つの穴を結ぶラインを底辺とする二等辺三角形を描きます。次にこの三角形の底辺の中心から延びる垂線の線分を求めてください。そして半径からこの線分を差し引いた長さが部材が曲がる時に必要な長さとなります。部材の両端を固定して上から人力で押し下げてその長さ分が程よく沈めばOKです。
部材の各所に接続用の穴を空けていきます。テンプレートを作っておくと楽です。
4種類の部材を区別するため小口には水性ペイントで色付けしておきます。小口だけでなく材を正面から見て識別できるように端部も塗っておくことをお奨めします。
今回組んでみて分かったことですが、組作業においてはグリット周辺を正面で見て作業します。そのため小口だけではほとんど識別しにくいのです。
これはバシャールのシンボルマークではないか・・・ |
全部で60セットになります。
次に材の接合について説明しましょう。
今回、互いの穴を3mm釘で通して仮固定し、その後棕櫚縄1mで数回巻きつけて本締めとしまし
た。
釘は尖った方の端部を番線カッターで切り落として、切断部は接合部から出ないようにします。
できれば作業時怪我をしないようにその切断部はグラインダーで滑らかにしておいたほうが良いでしょう。棕櫚縄はくれぐれも水につけてから使用してください。結び方等についてはここでは省略します。
今回棕櫚縄で固定する選択を取った理由は、ある種のこだわりです。
できるだけ自然素材で特別な金具など使わないでもできるということを示してみたい。
それから、今だこの文明が見い出していないテクノロジーによる形態を電気がなくてもできるんだということを示してみたいという想いがあったからです。
材料の重さは約65キロ、これで直径5.5mの高さ3,3mのドームのグリットを組んでいきます。
車に積み込んだ日は台風12号の過ぎ去った後、この日は組立に取り掛かる前日です。
今回の計画は、現代美術の野外展示が一つの目的でした。組立の現場は豊橋公園の城址跡地の空間です。台風の過ぎ去った後だったので初日は涼しく心地よい作業でした。
では次回、実際の組立に入っていきましょう。
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