1/06/2017

新しい建築様式への道(その3)Ways to a New Style in Architecture(part 3)

私が好きな建築にバルセロナに建つサグダラファミリアがある。幾何学を駆使し芸術と構造を有機的に統合した形態を創り出した他に追順をまだ見ぬ作品だ。
私は40才ごろまで彫刻やら装飾に関わる仕事をしてきたとは言え、これといった作家らしい作品など作ってこなかった。実験的な試作ばかりで個展などに関心も無く、先ず最初に公に発表したのは特許広報だったといってもいい。
公開した内容は幾何学構造による建築とほか2点だった。
最初から特許権を振り回した独占ビジネスなどには興味なかったので、今ではだれでも共有することの出来る状態になっている。
私の狙いは、こうして公開特許にしておけばだれも独占することが出来ないようにするための布石でもあった。
私はもう既に前世でたぶんお抱え芸術家を嫌と言うほど経験してきたためか作品と言われる物質的なものを遺すことに嫌悪を感じていた。
私が意図していることは、共有化だった。
その点バックミンスターフラーはいいお手本だと思っている。
ただ、幾何学的には初歩の段階に留まっている状態だったので、物足りなさを感じ自分なりにさらに先に進んでいった。
有機的な建築と言えば代表はスイス、ドルナッハに立つ人智学建築で、ゲーテアヌムで知られている。この有機的なフォルムを形成するには作家的な霊能力と職人技が必要だが、私はこのエッセンスを幾何学的にシステムから導くことは出来ないものかと長年考えていた。
そうすれば基本構造だけでも有機な骨格が作りだせ、だれもがそれを共有することが出来るからだ。そこに作家性が入り込むことは無い。
そのような想いもあってか、私は神聖幾何学を駆使した多次元の幾何構造に入り込んでいった。
神聖幾何と言えばプラトン立体で知られる直線思考の強い形態だが、これらを球に反映させたり座標軸上で変容させたりすると、鉱物や植物の記号形態が現れてくる。幾何学的には二つ三つの幾何を組み合わせてシステム化するわけだが、さらに座標軸を増やしていくとより植物特有の形態が躍動的になって静的なリズムを生み出していく。




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