前回、テンセグリティーの変容を断片的に取り出しました。
できれば、その変容する過程をアニメーションで示すことができれば理想的です。
そうすれば、テンセグイティーの無限大に循環する過程が視覚的に理解できます。
しかし、私にはそんなスキルはないため、その一連の変容を絵図で用意しました。
イギリスで構造を研究しているオリバー・ヴァベレル氏の論文からです。
文献は2007年「Nexus Network Jounal]の281ページから298ページです。
タイトルのNexoradesとは、軸組みの構造の古い呼び名だそうです。
ここでは、今のところ混乱を避けるためその呼び名はとどめ、単に軸組み構造としておきましょう。
そのヴァヴェレル氏が、プラトン立体の双対関係における変容を軸組み構造で示しています。
研究の内容は1997年ですからかなり以前となります。既にこのころから、”100匹目のサル”にたとえられますが、各所で類似した内容が出始めています。
私の情報では、やはり欧米の方がこの手の研究は進んでいます。
さて、注目すべき一連の図で、最初に出ているのは289ページの図20~図28です
全部で9図あり、最初の図20が正20面体を示していることは明確かと思います。それぞれの頂点は軸が回転してずれており、中心に空間があります。
変容は徐々にその軸を太くすることで頂点にあたる三角形の空間が広がっていきます。
それに対し、五角形の大きな空間は逆に小さくなっていきます。
この場合軸は太くはなっていきますが、見やすくするためその長さは省略してあります。
図25では、既に三角形の空間が五角形の空間を押し縮めています。
この時点で図の大きさは同じですが、その軸はかなり太くなっており、全体の大きさは相対的にかなり大きくなります。
逆に、軸の太さを一定の設定にした場合、全体の大きさは相対的にかなり小さくなります。
後者の方がより自然に感じます。別の言い方をすれば、図20の時点で軸が互いに中心に向って回転しながらずれていくので、全体は徐々に小さくなっていくのです。
ここでは取り合えず、先の設定で話を進めましょう。
図25の時点で軸の太さは限界に達します。これ以上軸を太くしても同じ構成となります。
ちょうど五角形と三角形の空間がつり合っているからです。
変容のニュートラルな状態です。
三角形をより大きくするには、この時点からは軸を細くしていきます。
図26になると正20面体が見えてきます。そして最後の図28でほぼ完全にフレームワークの正20面体となります。
このまま軸を限りなく細くしていくことで、ユークリッド幾何の世界に入っていきます。
そこでは三角形が限りなく平面で、頂点は限りなく点に至っています。
しかし、この軸組み構造の発想の下では、三角形の空間や頂点の微小な空間はねじれ、回転しているのです。
現実の空間と言っても、量子の世界においては、このような空間に近いのではないかと直感的に思うのです。まさか平面のように思われる空間が真平らであることは自然界にはありえないからです。
残りの2つの双対関係にある立体も、この軸組み構造の下、互いに変容することが後の図で示されています。正四面体は、それ自身上下逆さになることで双対を繰り返しています。
次回、テンセグリティーを離れ、この軸組み構造に入っていきましょう。
かなり広範囲に及ぶため、できれば最初の段階で具体的な方向を示すことができれば良いかと考えています。
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