9/10/2023

古代コンクリートたたき 、その施工法の確立

【古代コンクリートたたきの特徴】

古代コンクリートによる「たたき」は伝統的な「たたき」やポルトランドセメント(以下通常のコンクリートと言う)を使った「たたき」とは異なるものです。
材料も異なれば、その性質や特徴も異なります。

「土間たたき」の範囲でその特徴を挙げると、湿度や水分を吸収し放出する能力は伝統的な「たたき」よりも高く、もちろん通常のコンクリートによるものよりもはるかに高いので湿気のある土間はもちろん、勝手口、デッキの下や床下などの湿気抜きを施したい箇所には最適です。それは、主成分である火山灰の粒子が多孔質構造になっていて、その性質から来るものです。さらに特質すべきは電磁波を吸収する能力が高く、その点は珪藻土の性質に似ていると言えます。さらにゼオライト同様に放射線を吸収する能力も高いです。またこれは関係ないかもしれないが、海水に漬かれば漬かるほどに長寿命になっていく、不思議な性質を持っています。

強度の点では、伝統的な「たたき」は通常のコンクリートを使った「たたき」の1/15の圧縮強度ですが、古代コンクリートによるものは後者とほぼ同じ程度なので、施工の際は厚みを抑えることができます。
また伝統的な「たたき」は軒先などの雨に濡れる箇所では劣化することがあり屋外では使いにくいのですが、古代コンクリートによる「たたき」は通常のコンクリートによる「たたき」同様に屋外でも使用することができます。

堅牢性に関しては、施工後数年過ぎれば通常のコンクリートによるものをしのぐ硬度となり、寿命も従来のそれよりもはるかに長くなります。

なお、デメリットとしては配合材に含まれる生石灰の扱いが危険を伴うので施工の際は十分注意しなければならないことです。
また主成分の火山灰ですが、比較的粒子の細かく柔らかい、鉱物名:ベントナイトを大量に入手することは入手先が限られていることやコスト面で負担になるところです。

また、これは土間「たたき」では考慮することではないですが、あえて難点と言えば、通常のコンクリート同様に使った場合、例えば型枠に同様な骨材を配合して流し込んだ場合、初期強度が従来のそれよりも劣るため、つまり次の施工過程に翌々日から取り掛かることなどは困難です。また初期強度の確保が難しい冬期や寒冷地での工事には比較的日数がかかります。要するに、今日のような効率と経済重視の市場では成り立たない、比較的スローな素材となります


【施工方法】

標準の生石灰と種土の割合は1:10が適しています。
ここで種土とは火山灰と真砂土(別名サバ土)になります。

火山灰の割合は生石灰の2倍が適しています。
よって比率にすると、生石灰1:火山灰2:真砂土8となります。
これを混ぜたものに海水を注いで練っていきます。



一度に盛る土の厚みは2㎝~3㎝が施工しやすいです。
床の目的に応じては、2層目以下の生石灰と種土の割合を1:15にしても十分強度があります。その際の比率は、生石灰1:火山灰2:真砂土13となります。
層の厚みは、重量物を運搬もしくは車を駐車する箇所では5㎝、
軽作業する場所や人の往来する箇所ならば4㎝、
デッキの下や床下などの圧があまりかからない箇所ならば2~3㎝がふさわしいでしょう。
なお、5㎝厚で、トラックなど駐車する場合は鉄筋のメッシュを使用すると注入した海水の塩分によって錆びてきますので、鉄筋の代わりに竹材を使用することをお勧めします。
ちなみに東南アジアの一部の地域では竹材をメッシュにして使われています。

施工面1平米、厚み5㎝とった場合の配合比
「生石灰6㎏」+「火山灰12㎏」+「真砂土48㎏」これに
「海水3L」もしくは「真水3L+苦汁を抜いていない塩100g」を加えます。


(1)「真砂土」「生石灰」「火山灰」をモルタルミキサーで空合わせを行います。

(2)「海水」3Lを準備します。海水が手に入らない場合はにがりを抜いていない塩を1Lあたり34g混ぜて人工的に海水を作ります。

(3)空合わせした1に(2)を入れながら水分が全体にいきわたるまで十分に混ぜ合わせます。(混練り時間の目安は、約2~3分程度、色が白から土色(濡れ色)になります。)
 生石灰が水分を吸収すると熱を発します。熱は200度近くに達するので、マスクと軍手着用で混合物には触れないように注意してください。プラスチック類の容器や器具は使わないで金属製の物を使ってください。

(4)硬い場合は、少しずつ海水を加えながら調整します。(固さの目安は、手で握って団子ができるくらいの水量に調整します。握り締めて少し水が出る程度に調整します。)

(5)練り上がった材料を準備して完成です。               

(6)練り上がった材料を敷き詰めて均していきます。叩き占めることで10mm程度沈み込むので、それを見越して敷き均して下さい。

(7)たたき用の鏝、木槌、などを用い均一に叩き締めていきます。(厚みは標準仕上がり40mm以上で行って下さい。たたく度合いによって強ければ、厚みは2層には分けず、一度に40mm打設してもかまいません。)

(8)凸凹にならないようにし、定規等を用いて高い場合は削り、低い場所には材料をつけながら叩いていきます。フラットにしにくい場合は刷毛で水をつけながら鏝で表面を押さえ、ノロを浮かせ整えます。(あまり強く叩きすぎると修正が行いにくくなります。厚みを揃え、表面を整えるように叩いていきます。また、化粧砂利が仕上げて入りにくくなるので、ご注意下さい。)

(9)化粧砂利を埋め込んだ部分が凹みフラットにならない場合は、刷毛で周面に水を含ませながら、金鏝で抑えノロを浮かせフラットになるまで伏せこんで下さい。

(10)犬走りやアプローチなど、角を丸めて仕上げる場合は丸型の面付き鏝などを用いて丸めることができます。乾燥前に型を外しスポンジ等で水分を表面に含ませながら面付き鏝で仕上げていきます。(縁は圧力がかかると、欠けたりする場合があります。のべ石やゴロタ石などを利用したほうが安心です。)

(11)当日もしくは、翌日に表面のスポンジ拭きを行います。

(12)たたき表面に刷毛等で水を含ませノロを掃き取ります。その後洗い出しの要領で表面を拭き取り、砂粒などが見えるまで拭き取ります。

(13)スポンジ拭き取り後、通風を良くし乾燥させて下さい。雨などに当てないよう(4日~5日程度)養生して下さい。冬場は、10日以上乾燥させて下さい。

(14)最後に完成した表面を水道水等で十分に洗い流します。


配合材を練った後の過程は、伝統的な「たたき」の作業と同じです。
「たたき」を扱った様々な動画が配信されているので参考にしてみてください。



古代セメントの固まるメカニズム
https://3rd-architecture.blogspot.com/2023/07/blog-post_20.html



7/27/2023

古代コンクリーたたきⅤ

4層目を仕上げ、これで 全ての作業が完了

最後の層はその表面をどう 仕上げるかで考えあぐねていた。
最初はコテ仕上げで表面を均一になしていたが、作業が中盤に差し掛かったところで、 おかしいことに気づいた。
コテでモルタルのように均ならしていくと表面に微粒子のペーストが集まり見た目は綺麗に仕上がるが、モルタルではないために 後々は劣化が早くなることに気づいた。
生石灰と 種土の割合が1対15だからである。
どうしても 表面処理をきれいに コテ仕上げにしたいならば、モルタル仕様の1対 3にしなければならない。
ここで『たたき』の重要性について気づいた。
表面を均一にするには 、とにかく コテで叩くことである。
ところどころ スが入った場合は、小さなコテでその箇所に種土を盛り、叩く。
土を盛りすぎた場合は、コテで均らさずに削り取り、叩く。
コテはモルタルのように 傾けながら 表面を均すようなことはしてはいけない。
1体15の比率の場合はとにかく 叩いて 叩いて表面を均一に持っていく。
その場合 、コテの跡が残ってしまうことがある。これは自作の木コテを使って叩いたからで、このようなコテは表面のたたきには向いてないことがわかった。
やはり『たたき』 専用の 金鏝 はよく考えられて作られている。そうでなければ作業効率は悪くなる。
今回は金ゴテでも大型の薄物で叩きながら なんとか 表面を均一に持って行ったが、かなり時間がかかった。
最後の微妙な表面の凸凹を均すには、ハケ仕上げが適している。
あるいは スポンジで仕上げても良い。







7/22/2023

古代コンクリートの再現Ⅳ

3層目の完了

生石灰 と 種土の割合 を1:10では硬すぎるような気がし、1:15に変えてみる。
1:10は長七の『人造石 』でも堤防の組石の間に詰め込む 場合の比率ではないだろうか。
床に施工する 『たたき』程度ならば1:15でも十分な強度を保つことができる。
練り具合は握った時に形が保て、水が滴り落ちないで、じんわりと湿り気が感じる程度が良い。
従来のコンクリート 同様に、なるべく 水分を押さえて、叩いた時に じんわりと水が上に上がってくる程度が一番強度が出る。
従来の『たたき』の場合、 ダンパー や重みのあるコテで叩いていくが、おおよそ3 cm 厚 を3から4層に分けて叩いていく。
古代コンクリートを使った場合は 10cm も取らなくても7cm 場合によっては6cmぐらいで十分強度が保てるのではないだろうかと予測している。
叩くと じんわりと水分が浮き上がってくる程度がよく、できればその直後に次の層に取り掛かることが好ましい。
なかなか そのように事が進まないことが多いので、乾かないように散水し、気温が高い場合は シートをかぶせながら行う。
施工する場合は 季節も考慮しなければならない。
夏場や 冬の 水が凍るような時期は避けるべきである。
これは 水を媒体にして化学変化を起こすことで硬化する材料一般について言えることで、化学変化が完了する前に水分が飛んでしまうと、 あるいは凍ってしまうと粒子の結合 がなされずに固まらないで後々崩れたり 亀裂が入ってしまうことになる。
よって施工するに最適の時期は秋の季節のいい時もしくは梅雨時の湿度の高い時期となる。
今回は 梅雨時から始まり 梅雨が終わる頃にはちょうど 施工も終わる予定であったが、何かと試行錯誤や材料調達に時間が重なり厳しい 夏の最中に行わなければならないハメになってしまった。








7/20/2023

古代ローマ時代のコンクリートは、今も強度を増していた──その驚くべき理由が解明される

 コンクリートは、年月が経つにつれてもろくなるのが普通だ。だが、古代ローマ時代に作られた岸壁のコンクリートは、時間が経てば経つほど強度を増していた。その驚きの理由が、米研究チームによって解明された。https://wired.jp/2017/07/30/roman-concrete/

以下、全文転載
古代ローマ時代のコンクリートは、今も強度を増していた──その驚くべき理由が解明される

調査が行われているのは、イタリアのオルベテッロにあるポルトゥス・コサヌスの岸壁。
PHOTOGRAPH BY J.P. OLESON

古代ローマ帝国が滅亡したのは1,500年以上も前のことだ。だが、この時代に作られたコンクリートは、現在も十分強度がある。例えば、ローマにあるパンテオンは無筋コンクリートでできた世界最大のドームといわれているが、約2,000年経った今も強度を保っている。これは現代のコンクリートでは考えられないことだ(現在のコンクリートの寿命は、50年から100年程度とされる)。

なぜ、ここまで古代ローマのコンクリートが強いのか。その謎が解明されつつある。

古代ローマ時代のコンクリートは、火山灰、石灰、火山岩(軽石)、海水を混ぜ合わせて作られている。のうち、重要な役割を果たしているのが、最後の材料である海水だ。この珍しい材料の組み合わせのおかげで、1,000年以上の時間をかけてコンクリート内で新しい鉱物が形成され、ますます強度を増しているらしい。


その秘密を解明するため、米エネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所の研究チームは、古代ローマ時代に作られた岸壁や防波堤のコンクリートを採取して、X線マイクロ解析を行った。

『American Mineralogist』誌オンライン版に2017年7月3日付けで掲載された研究成果によると、解析の結果、コンクリートの中にアルミナ質のトバモライト結晶が含まれていることがわかった。この層状鉱物が、長い時間をかけてコンクリートの強度を高めるのに重要な役割を果たしているという。この鉱物は、海水と石灰と火山灰が混ざり合って熱が発生することによって生成される

この研究を率いたユタ大学の地質学者マリー・ジャクソンは、「古代ローマ人は、海水と化学反応を起こして成長する岩のようなコンクリートをつくり出しました」と言う。また、この構造物に打ち寄せる海水が第2期の鉱物の成長を引き起こし、コンクリート全体の強度をさらに高めたことも、解析から明らかになった。

鉱物粒子を分析した結果、コンクリート全体でトバモライト結晶が成長していることが確認された。しかも、この成長はたいてい、フィリップサイトと呼ばれる別の結晶の成長と同時に起こっているという。こうした新しい鉱物は、火山灰が海水によって溶解したときに形成される。長い時間をかけて海水が火山灰を溶かすにつれて、コンクリートはどんどん強度を増していったのだ。

これに対し、現代のコンクリートは、いったん固められた後にその構造が変化するようにはつくられていない。そのため、鉱物によって成長する古代ローマ時代のコンクリートと違い、私たちが今日利用しているコンクリートは、なんらかの化学反応が起こると、裂けたり割れたりしてしまう。とりわけ、海水は現在の防波堤にとって脅威となっている。補強鋼が錆び、その周りのコンクリートが腐食してしまうからだ。

古代ローマ人は、幸運にも理想的な岩壁を作成することができた。そこでジャクソンは、現代科学の力を借りてこのコンクリート混合物を再現したいと考えている。

※古代ローマで使われていたコンクリート(ローマン・コンクリート)の研究をもとに、コンクリートの結晶に「螺旋転位」と呼ばれる“欠陥”を意図的につくると強度が2倍に高まるという研究結果も発表されている。なお、米軍は通常のコンクリートよりはるかに強度があり耐久性もあるスーパー・コンクリート(ジオポリマー)の研究を進めているが、大ピラミッドの石も同種の技術で作られていたという説もある[日本語版記事]。

TEXT BY JAMES TEMPERTON
TRANSLATION BY TAKU SATO, HIROKO GOHARA/GALILEO


合わせ読んでおきたい

古代ローマの建物はなぜ長持ちするのか、科学者が謎を解明



古代セメントの固まるメカニズム

 【海水からセメントを取り出し包丁を作る】

“the sharpest seawater knife” as if there are literally any other seawater knives in existence
https://youtu.be/pFG-nXUw6Ts
文字起こし


 古代エジプト・ローマでも使われ数千年来建造物を保ってきた古代セメント、現代ではその製法は伝承が途絶え、ジオポリマーとして研究されてはいるが民間人でも使えるような画期的な製法は見つかっていない。
タルタリア文明崩壊以降、この技術を使う石工集団や文献・証拠は抹消され、それに代わって寿命の短いセメントが発明されて現代に至っている。

私はこの5年ほど古代セメント・古代コンクリートを研究・調査してきているが、今回この動画で調合された方法で古代セメントや古代コンクリートは作られたのだろうと確信を得ている。

日本でも人造セメントとしては三和(たたき)が知られている。
粘土と海水(にがりであるマグネシウム)と石灰または焼いた貝殻(カルシウム)この三つの要素がかなめである。
さらに、これはほとんど技法として知られていないが、より寿命を長く強固にし塩害にも強く護岸工事にも使われてきた人造石を作る技術もあった。

だが、その技法は現代のセメント(ポルトランドセメント)の登場によって忘れ去られてきたかのように文献では書かれている。

私が勘ぐるには、生産にエネルギーコストが少なくて済む古代セメントなど必要とせづ、寿命の短いサイクルで消費される建造物、ひいては都市を計画していた組織的な存在によって、この古代セメントの技術は抹消されてきたのではないだろうか。
いわゆるタルタリア文明を崩壊させてきた存在たちによるものではないだろうか。





【酸化マグネシウムの精製過程】
酸化マグネシウムは、海水と石灰石から作られた天然由来の成分から作られています。以下の製造工程の通り、人体に有害な成分や化学物質は使用していない。



石灰石(CaCO3)を高温で加熱して、生石灰(CaO)を得ます。
CaCO3 → CaO+CO2

ここで生じた生石灰に真水をくぐらせることで、消石灰[Ca(OH2)]が生じます。
CaO + H2O → Ca(OH)2


消石灰に海水を混ぜることで、イオン交換反応により水酸化マグネシウム【Mg(OH)2】を生成。
Ca(OH)2 + Mg2+(海水) → Mg(OH)2 + Ca2+


生じた水酸化マグネシウムには海水由来のNa+,Cl-が多数付着しているため、洗浄した後、乾燥させることで酸化マグネシウム(MgO)が作られます。
Mg(OH)2 → MgO + H2O

この動画では、この酸化マグネシウムに塩化マグネシウムを混ぜて乾かせ、フライパンより固い素材を作り出している。

【参考資料】
長七たたき (人造石)物語 ~服部長七という人間像と人造石が固まる謎~
以下、要所転載
第2章 人造石が固まるメカニズム1 長七たたき (人造石)とは
  「たたき」は、江戸時代から土間や井筒、流し場などで古くから用いられていたものです。「たたき」は小石の混ざった土と石灰、にがりを混ぜ叩いて固めることから「たたき」とか3つの材料を混ぜことから「三和土」ともいいます。
  特に愛知県三河地方から西日本でよく利用されました。これは、この地域では花崗岩が風化した土「サバ土、マサ土」が手に入り安かったからと考えられます。

2 たたきが固まるメカニズム(出典:INAX 基礎研究所)
(株)INAX基礎研所のX線回折では、構成相は石英、長石、雲母、カルサイト(炭酸塩鉱物)であると確認されました。この石英、長石、雲母は、たたきの主原料である風化花崗岩によるもので、たたきの化学組成から主成分はSiO2、Al2O3で、約7%のCaOを含まれており、消石灰に換算すると約10%に相当することになります。
しかし、文献に多く見られる長七たたきの調合では30%程度の消石灰を混合すると記録されておりますが、今回のたたき含有量測定値は2.76%であったと報告されています。
長七たたき化学組成(蛍光X線回折 重量%)
SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO MgO K2O Na2O TiO2 L.O.I
62.3 15.1 1.0 6.8 0.4 4.7 1.3 0.1 8.4

X線回折ではカルシウム化合物としてカルサイトのみが確認されており、全CO2がカルサイト中にあるとして仮定すると7%のCaO量のうち約50%がカルサイトとして存在することになる。しかし残りのCaOはどのような状態で存在するかは明らかにできませんでした。一つの可能性として、風化花崗岩と添加した消石灰が反応しケイ酸カルシウム水和物等が生成したことが考えられています。
その他にたたきの微構造から固化機構を検討するために、細孔径分布と偏向顕微鏡及び走査電子顕微鏡観察を行った結果、真土(マサ土)と消石灰と水を練り混ぜ十分締め固めたものと確認されました。

              水和反応    炭酸化反応 
Al源(粘土鉱物)花崗岩風化物+Ca(OH)2→CaCO3+H2O
CaCO3+ Ca(OH)2→CaO+CO2
CaO+ H2O→Ca(OH)2


7/19/2023

長七の人造石工法の研究資料

以下の研究資料から長七の人造石工法の重要な点を抜粋する。

天野武弘著

・練り土(種土と石灰に水を加え練ったもの)は、十分たたき締めたとき表面に水がしみ出す程度がよい。
・練り土では海水を用いることが少なくない。実験の結果、人造石を海水中に使用する場合は海水で練った方がよい。
・人造石の築造方法は、練り土の厚さおよそ1寸(約3cm)ごとに締め木で打ち締め、水分がしみ出したら次の練り土を蒔き足して同様に打ち締める。


見直されるその現代的意義
飯塚一雄著 より一部転載


入念に「たたき締める」施工法

人造石工法は,材料の面で強い地域性があった.一口にマサといっても,採取する土地によって組成や粒度が異なる.また,マサが得られない場所では,適当な粘土や火山灰土などを使う場合があったようである・そのような材料の差異や工事条件の違いに応じて,施工の方法も変えていく必要がある.愛知県土木部や名古屋港管理組合のように,人造石工法を標準化しようとする試みもあったが,総じてこのたたき技術に経験的な性格が濃かったのは,材料面の地域差や不均一性におもな理由があったと思われる,したがってその内容は,指揮をとる練梁たちの「秘伝」とされることも多かった.服部長七の場合のように,服部組という大きな組織を持ち,大工事をつぎつぎにこなしていても,なおそこには属入的な性格が濃厚であった, たたき材料の配合比率については,残っている記録が極めて少ないが,各種の史料・文献から,つぎのような重量比の例を拾うことができる. O宇品築港工事(明治!7~22年)          石灰18%,種土82% O神野新田干拓工事(明治26~28年)          石灰約30%,種土約70% ○明治用水頭首工工事(明治34年)          石灰1 対 種土!0 0名古屋港管理組合による配合例          石灰1 対 種土10~12 以上の例における種土には,すべてマサが用いられている・人造石の技法が安定してきた明治後期には,石灰とマサの配合比率は,ほぽ!対10のあたりに落着いていることが読みとれるだろう. 入造石の施工に当たっては,原土の選定と精選(粒度調整など),石灰との配合比率と混合(空練り),加える水の量と練り合わせなど,多くの留意点があるが,最も重要なコツは練り土の打ち込みにあった。練り土                      きだこを少しずつ足しては締め木でたたき締め,さらに木蛸 つきぼうや椙棒で打ち締めることを繰り返して,総体的によく安全 工学伝統の天然セメント“たたき”493圧縮した.この打ち込みの入念さは,伝統的なたたきの経験に基づいているのだが,きわめて日本的な特徴を感じさせるものであり,当然ながら多くの人手を必要とした, このように人手のかかることが,やがてコンクリートに押されていく1つの理由にもなった,最近になって,たたきを復元しようとする試みが見られるが,その最大のネックも,この人海戦術にあるようだ.


天野武弘

7/16/2023

古代コンクリートたたきⅢ

 サバ 土が届いてようやく古代コンクリートによる『たたき』が始まる。



『長七たたき』の資料によれば、
石灰と種土の配分比率は1対10に落ち着いている。
この情報は当時仕事に関わっていた職人が漏らしたのかどうかは分からないが、嘘は言っていないと思う。
ただし 本当のことも言っていない。
石灰は大別すると生石灰と消石灰に 分けられるが、もしそれが消石灰 だとしたら長七が言っていた人造石などのような硬さは絶対に得られない。港湾の堤防 など 論外である。
また 石灰に混ぜる 種土は 真砂土 (サバ土)になるわけだが、その成分はおおよそ 花崗岩の風化した粒子や鉄分を含んだ 粘土 である。
たとえ長七が生石灰を使っていたとしても人造石となる化学反応を起こすようには到底思えない。
となると 長七はこの種土に何かを加えていたに違いない。
経験からそれを発見したか 、あるいは 当時ローマン コンクリートの情報をどこからか得ていたかもしれない。

いずれにせよ、それ以前から火山灰は左官業で壁土に使われていたのだから長七がこれを試していたことは確かだろう。


古代コンクリートの方は火山灰を媒介にするが、 すでに先人が行った実施例を見ると生石灰 との比率は1対1から1対2に落ち着いているようだ。
前回は1対1.5にしたが 今回は1対2で試すことにした。
よって 今回の配分比率は長七の資料を参考に生石灰1に対して種土となる火山灰2、サバ 土 は8で行ってみることにした。



石灰の特徴

地中海沿岸の街並みでは、石灰で塗られた美しい白壁が連なっています。 これは天然の虫よけ、伝染病予防として、アルカリ性の石灰を使ったのが始まりと言われています。

ちなみにこの火山灰はベントナイト ともいい粘土の塊を砕いてふるいにかけているところ。無味無臭。体内に蓄積した金属などの有害物質を解毒してくれるんです。

ベントナイトの8つのポイント

1毒素を取り除く
2脂性肌やニキビ
3皮膚の解毒
4減量と便秘
5下痢の治療
6日焼け止め
7鉛や重金属の除去
8コレステロールを下げる

ベントナイトの命名はワイオミング州のフォートベントンにちなんで名付けられた


火山灰の特徴

アレルギーの原因にもなるというホルムアルデヒドを吸収・分解するほか、調湿性、消臭性、抗菌性など、高い機能性を持っています。








7/06/2023

古代コンクリートと『長七たたき』

土間はやはり粘土では亀裂が入りやすい。かといって砂を増して『たたき』風にする当初の案もあったが、そうなるとほぼほぼコンクリートモルタル仕上げのような肌合いになる。

ちょうど適した塩梅を調整する手間を考えたら、『たたき』の主材料のサバ土(別名、山土・真砂土)を取り入れた方が考えることも無く早く済むのではないだろうか。

そう思って早速建材やでサバ土を注文することにした。


古代セメントを使った『たたき』
従来の『たたき』はコンクリートの1/15の圧縮強度だが、こちらはコンクリート並みの硬さになるのに加えて火山灰の持つ性質である湿度や電磁波を吸着する能力が高い。その点は珪藻土と共通した特徴を持っている。ゼオライトのように放射性物質を吸着する性質も高い。

これを施した土間でアーシングなどするとその違いが歴然とするだろう。

また従来の『たたき』は屋外だと雨に当たることで劣化が激しくなるが、当『たたき』はこれを解消するに違いない。またこれは関係ないかもしれないが、海水に漬かれば漬かるほどに長寿命になっていく、不思議な性質をもっている。

あえて難点と言えば、従来のコンクリートのようにすぐ固まらない。要するに次の工事や施工に早く取り掛かれない。なので今のような効率と経済重視の市場では成り立たない。


このコンクリートに匹敵する硬さの『たたき』で思い出すのが『長七たたき』である。

明治時代に活躍した服部長七が考案した『たたき』のことで、日本各地の港湾堤防工事などで使われてきた。

『長七たたき』が発明されたのは明治9年(1876)。

水中でも固まる人造石の特性から、海岸や河川の堤防工事に使用されてきました。

しかし、セメントが日本でも普及するに従がって需要が縮小していき、その内世の中から忘れ去られてしまったのである。


また長七は『人造石』を発明したことでも有名だ。

『人造石』とは、『長七たたき』の技術を、大規模な土木工事等に改良したものであると言われている。その核心となる材料には共通するものがあるだろう。

長七について調べると、その調合方法について不明瞭に書かれているものが多い、私の経験と知識から判断して正確ではなく、核心が別のものにすり変わっているのが見てとれた。

単に普通の『たたき』の材料を調合したものとして語られているが、それでは出来ない。

また(株)INAX基礎研所のX線回折で検出された材料で実験してみたが出来なかった。

おそらく本当のことを隠しているのかもしれない。そう勘繰りたくなるのは熟練の左官職人なら経験から矛盾していることが分かるはずだからである。

このあたり本当のことを公表すると先ず左官職人が試してみて実証し、それを横目に産業化に乗り出す輩が必ず出てきてしまう。

こうして勘繰れば、セメント業界からの圧力を避けるためにとった処置かもしれない。
あるいは単に化学変化が進んで元の材料が検出できなかったかもしれない。
 

だが以下の文献におそらく正しいことが記されている。 ここでは単に石灰と記されているが、間違っても消石灰ではなく生石灰の方であろう。

たたき材料の配合比率については残っている記録が極めて少ないが,各種の史料・文献からつぎのような重量比の例を拾うことができる。

 

○宇品築港工事(明治17~22年)    石灰18%,種土82% 

 

○神野新田干拓工事(明治26~28年)  石灰約30%,種土約70% 

 

○明治用水頭首工工事(明治34年)   石灰1 対 種土10

 

○名古屋港管理組合による配合例    石灰1 対 種土10~12

 

 

以上の例における種土には,すべてマサが用いられている。人造石の技法が安定してきた明治後期には石灰とマサの配合比率はほぽ1対10のあたりに落着いていることが読みとれるだろう。 入造石の施工に当たっては,原土の選定と精選(粒度調整など)、石灰との配合比率と混合(空練り)。加える水の量と練り合わせなど多くの留意点があるが、最も重要なコツは練り土の打ち込みにあった。練り土を少しずつ足しては締め木でたたき締め,さらに木蛸 つきぼうや椙棒で打ち締めることを繰り返して,総体的によく圧縮した。この打ち込みの入念さは,伝統的なたたきの経験に基づいているのだが,きわめて日本的な特徴を感じさせるものであり,当然ながら多くの人手を必要とした。 このように人手のかかることがやがてコンクリートに押されていく1つの理由にもなった。最近になって,たたきを復元しようとする試みが見られるが、その最大のネックもこの人海戦術にあるようだ。
参考文献:伝統の天然セメント”たたき” 


長七はその材料や配合方法を何度も繰り返した末に編み出したようだ。

当時それを『人造石』で商標登録していたが、なぜか技術特許を申請していない。他に彼は別件で2件の特許を取得しているにも関わらず。

この『人造石』に関してだけ申請しなかった理由は、申請する前に博覧会場で現物を展示していたからかもしれない。あるいは公開するとまずいことに技術を盗まれるだけではなく、使われないでこの世から抹消されることを知っていたかあるいは知らされたからかもしれない。



それで秘伝として愛弟子のみにノウハウを伝えたのだろう。服部長七(服部組)は人造石を独占的に施行し、工法は漏れないようにした。


 


人造石工法は明治10年代から30年代にかけ、鉄筋コンクリート工法が普及する過渡期において、全国各地の築港、干拓堤防などの土木工事に採用された。とくにこの時代には独占的にというほど多くの人造石工事が服部長七(服部組)によって行われた。明治30年ころには全国に数十カ所の支店を持っていたほどだ。

 参照 服部長七と愛知の人造石遺構

これは後々のセメント産業を発展させていく財閥にとっては 脅威だったに違いない。


「長七たたき」(人造石)の技術は生きていた。

カンボジアの世界遺産・アンコール遺跡のバイヨン寺院。その北経蔵の修復が、ユネスコの日本国政府アンコール遺跡救済チームにより、平成11年(1999)9月に完了しました。

このバイヨン寺院北経蔵の基壇修復を可能にしたのが、明治時代に発明された「長七たたき」(人造石)の技術です。 化学的な物資は一切使えないため環境を損なうことなく、尚かつ、従来の工法の約30倍の強度を持つ「長七たたき」。明治時代の技術が、世界遺産を後生に残すために活かされました。この先見の技術の発明者こそ、岩津天満宮・中興の祖、服部長七翁です。
参照:明治時代の技術が活かされた世界遺産・アンコール遺跡の修復

 







7/04/2023

古代コンクリートたたきⅡ

2層目に入る

細めの砕石に砂・粘土を混ぜて 骨材としてみたが、まだ粘りが強くて乾いてくると亀裂が入ってくる。
かといって粘土なしだと、もろ土間コンクリート感丸出しであの『たたき』のような 肌触りの良い柔らかい感じが出ない。

何かが足りないと直感で感じ 立ち止る。
砕石でも砂でも粘土でもない その中間あたりの粒子が必要だと気づいた。
それは 『たたき』に使う主原料の真砂土で、粘着性がなく バサバサとして粒子が粘土や砂より大きく5ミリ前後の土と砂で、 早く言えば有機質を含まない山から取ってきた土である。
一般の建材屋ではサバ土 もしくは 山土 と言われて販売されているものである。




6/30/2023

古代ローマの建物はなぜ長持ちするのか、科学者が謎を解明

 私は5年ほど前より古代コンクリート(またの呼び名をローマンコンクリート)を調査・研究・試作してきました。

現在使われているコンクリートは出来て数十年後からに徐々に劣化していきます。
それに対し、ローマンコンクリートは出来て数十年後からさらに強度を増し数千年から数万年もつといわれています。
私はこの両者がまったく間逆の性質を持っている点に疑問とエコロジカルな関心を持ちました。
また今日ローマンコンクリートが使われなくなった背景を知ることで、それを再現し実用化するにはどうすればよいかと考えるようになったのです。

今日寿命の短いコンクリートが使われている背景には医療産業やエネルギー産業同様に従来の産業の維持にあります。また医薬品として十分すぎるほどの価値あるものを一般大衆が手にしないようにあえて意図的に犯罪対象にされてきた大麻にもどこか共通する点があるのを感じずにはいられません。

今日このローマンコンクリートはローマ以外にさかのぼることエジプトのピラミッドやアジアの国々、さらに日本の縄文時代にも使われていたのではないだろうか言われています。
そこで私は呼び名を包括して以下、古代コンクリートと呼ぶことにしました。

2017年、古代コンクリートの主要な原材料が解明され発表されました。それ以降多くの人が関心を示してきたのでしょう。
最近それに応えるかたちでCNNが科学的なエビデンスも掲げて記事を書いてます。

https://www.cnn.co.jp/style/architecture/35200239.html
以下、全文連載

古代ローマの建物が長持ちする「謎」を解明したとの研究が発表された

古代ローマの建物はなぜ長持ちするのか、科学者が謎を解明

古代ローマの建物が長持ちする「謎」を解明したとの研究が発表された/Emmanuele Ciancaglini/Getty Images

古代ローマの壮大な建造物は、何千年も存在し続けている。これはコンクリートの使い方を極めた古代ローマのエンジニアたちの創意工夫の証しだ。

しかし、彼らが使用した建設資材は、パンテオン(世界最大級の無補強のドームを有する)やコロッセオといった巨大な建造物を2000年以上も存続させる上で、どのように役立ったのか。

「ローマン・コンクリート」と呼ばれる古代ローマのコンクリートは、多くの場合、現代のコンクリートよりも長持ちすることが証明されている。現代のコンクリートは数十年以内に劣化することもある。古代ローマ人はいかにして建設資材をそれほど長持ちさせ、波止場、下水道、地震帯といった建設が困難な場所に複雑な構造物を建設できたのか。ある最新の研究を行っている科学者らは、それを可能にした謎の材料をついに発見したと主張する。

米国、イタリア、スイスの研究者らも参加するその研究チームは、イタリア中部に位置するプリベルノの遺跡の城壁から採取した2000年前のコンクリートのサンプルを分析した。このサンプルは、ローマ帝国の至る所で見られる他のコンクリートと配合が似ている。

そして分析の結果、コンクリートに含まれる「ライムクラスト(石灰の塊)」と呼ばれる白い塊が、時間の経過とともに生じる亀裂を修復する能力をコンクリートに与えることが分かった。それまでこの白い塊は、混ぜ合わせ方がずさんだったり、原料の品質が悪かったりした証拠だとして見過ごされてきた。

「古代ローマ(のエンジニアたち)は、資材の選択や処理を極めて慎重に行っていた。そんな彼らがずさんな仕事をするとは信じ難かった」と語るのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の土木・環境工学の准教授で、この研究論文の著者でもあるアドミール・マシック氏だ。

「(古代ローマの)学者たちは(コンクリートの)正確な作り方を書き留めて、それを(ローマ帝国中の)建設現場に押し付けていた」とマシック氏は付け加えた。

この新たな発見は、今日のコンクリート作りをより持続可能なものにするのに役立ち、さらに、かつてローマ人が行ったように社会を一新する可能性も秘める。

マシック氏は「コンクリートがローマ人の建築革命を可能にした」と述べ、さらに「(コンクリートのおかげで)ローマ人は多くの都市を建設し、それらを美しく、素晴らしい住環境に変えることができた。そしてこの革命により、人間の生活の仕方が一変した」と付け加えた。

コロッセオを訪れる観光客=2019年6月/EyesWideOpen/Getty Images
コロッセオを訪れる観光客=2019年6月/EyesWideOpen/Getty Images

ライムクラストとコンクリートの耐久性

コンクリートは、基本的にセメントを混ぜ合わせて作った人工の石または岩石で、セメントは、一般に石灰石、水、細骨材(砂や細かく砕いた岩)、粗骨材(砂利や砕石)で作られた結合剤だ。

古代ローマ時代の文献には、セメントに消石灰(石灰に水を混ぜて熟成させたもの)が使用されていることが示唆されていた。そのため学者らは、ローマン・コンクリートはこの消石灰を主材料として作られていたと考えていた、とマシック氏は言う。

しかし、さらなる研究の結果、ローマン・コンクリートにライムクラストが発生した理由は、コンクリートを混ぜ合わせる際に、消石灰ではなく、または消石灰に加えて、生石灰(酸化カルシウムとも呼ばれ、非常に反応しやすく、危険性の高い、乾燥した石灰石)を使用したためだと研究者らは結論付けた。

またコンクリートのさらなる分析の結果、生石灰を使用することにより発生すると見られる超高温下で形成されたライムクラストと、「ホットミキシング(超高温下でコンクリートを製造する手法)」がコンクリートの耐久性を高める鍵であることが明らかになった。

マシック氏はプレスリリースの中で「ホットミキシングの利点は二つある」とし、次のように続けた。「第一に、コンクリート全体を高温に加熱すると、消石灰のみを使用した場合には起こりえない化学反応が可能になり、他の方法では形成されない高温関連化合物が生成される。第二に、この高温により、すべての反応が加速されるため、(コンクリートの)硬化時間が大幅に短縮され、はるかに迅速な建設が可能になる」

研究チームは、ローマン・コンクリートの明らかな自己修復能力の原因がライムクラストなのか否かを確かめるため、ある実験を行った。

彼らはコンクリートのサンプルを二つ用意した。一つは古代ローマの製法に従い、もう一つは現代の基準に従って作り、それらに意図的にひびを入れた。2週間後、古代ローマの製法で作ったコンクリートは水を通さなかったが、生石灰を使わずに作ったコンクリートの塊は水を通した。

この研究結果は、ライムクラストは水に触れると溶けて亀裂に流れ込み、再結晶して、風化によって生じた亀裂が広がる前に修復することを示唆している。研究者らは、このライムクラストの自己修復能力は、従来のコンクリートよりも長持ちし、それゆえ持続可能性の高い現代版コンクリートの製造への道を開く可能性があると指摘する。同研究によると、自己修復能力のあるコンクリートの使用は、最大で世界の温室効果ガス排出量の8%を占めるコンクリートの「カーボンフットプリント」の削減にもつながるという。

研究者たちは長年、ローマン・コンクリートがそれほど丈夫なのは、ナポリ湾沿いのポッツオーリからの火山灰が原因と考えていた。この種の火山灰は、建設に使用するために広大なローマ帝国の各地に輸送され、当時の建築家や歴史家の説明の中でもコンクリートの重要な材料と紹介されていた。

マシック氏は、(石灰と火山灰は)どちらも重要な成分だが、石灰はこれまで見過ごされていたと語る。

この研究は、米科学誌「サイエンス アドバンシス」上で発表された。


合わせて読んでおきたい

6/29/2023

古代コンクリートたたき(一層目)



2023年6月29日

一層目 古代セメントによるコンクリート敷
基礎固めの上にコンクリートを敷く。
セメントと骨材の比率は 通常のコンクリート 同様に 1対5で試みる。
1層目の前半はモルタルでやってみたが、厚さ5cm だと粘土成分が高いため 亀裂が入った。
古代 セメントは 『たたき 』よりも 硬化度が高くなるため、通常の コンクリートの構成比率と同様の扱いで良いのではないかと思う。
一応 『たたき』と同様に厚み10cm を取ってみたが、何層にも分けて叩いて固めるわけでもないし、通常のコンクリート 同様に硬くなるのであればこれほど深い 厚みを取らなくても良いのではないかと思う。
それでも 10cm も取ってしまったので、2層目は細目の砕石と 小粒の軽石を多めに入れ、3層目で 粘土と砂を骨材とみなしたモルタルで仕上げて行く予定である。
セメントと骨材の比率は 通常のコンクリート 同様に 1対5で試みる。

均一になるよう、よくかき混ぜる

海水を注入して均一になるように捏ねる




火山灰の天日干し

 天気が良いので火山灰の天日干し

火山灰 と言っても色々あって、この地方で取れるものはベントナイトと言われているもの。
さらにベントナイト にも 2種類あって、国産のベントナイトで有名なのは山形・ 新潟のナトリウム ベントナイト 、別名 ナトリウム モンモリロナイト。水を吸うと膨張するのが特徴。
こちらのは カルシウム ベントナイトと言って別名 カルシウム モンモリロナイト。水を吸っても膨張しない。
カルシウム分を含んでいるので NASA がかつて宇宙食に採用したそうだ。あそこも怪しい組織 なので 真偽は分からない。
どちらも水分をものすごい速さと量で吸収する。乾燥したものを水に入れると音を立てるほどだ。
ベントナイトの特徴は 吸収・ 吸着能力が高いので水を吸うことはもちろん 、油・汚染水 ・原発から出た放射性廃棄物の吸着 など浄化作用が高い。
目に見えない 電磁波・放射線・悪臭 まで 吸収するのでこれをお風呂に入れる クレイバス(入浴剤)は健康意識の高い人なら知っているだろう。
目に見えない量子レベルのものまで吸収するので除霊にも効果があるかもしれない 。
まだまだ未知の領域だ。
その能力の秘密はケイ素にある。
火山灰を構成している主要な成分は多孔質のガラス= ケイ素で小さな穴がたくさん空いている。
その様子は スポンジだと捉えると分かりやすいだろう。
だが実際は スポンジ以上だと言える。
ベントナイトを水につけるとその体積の約8倍を吸収するからだ。
材木でさえ 0.6から1.5 倍なので驚異的な吸収力である。



6/19/2023

2017年に古代コンクリート(ローマンコンクリート)の主要な原材料が解明され発表されました。
私もそれに注目し、それ以来実験と検証を重ねてきました。
当時は情報も限られておりましたが、最近では続々と関連動画が出回っていてしかも完成度の高い情報となってます。
この動画では、そのコンクリートの特性である自己修復機能について話されています。
膨張と修復で生じた亀裂をコンクリート自身が自ら塞ぐところなど驚きのメカニズムを語ってます。

6/14/2023

古代コンクリート(ローマンコンクリート)の再現Ⅰ

 古民家の土間や縁側に使われてきた、『たたき』、私はこれを古代コンクリートで再現する試みを始めることにした。

私の長年にわたる古代コンクリート再現プロジェクトもようやくこれで終盤を迎えようとしている。

たたき、は漢字で『三和土』と書かれ、粘土に消石灰に苦汁を混ぜて固めた和製コンクリートのことである。

そのメリットは、
・湿度を調整する効果があるため、空間の湿度を快適に保つ
・断熱性があり、冬は暖かく夏は涼しい省エネ効果がある
・化学成分を使わないため安心
・滑りにくく、セメント等に比べて足への負担が少ない
・人の手で作られたぬくもりや自然な風合いがある
またデメリットの方は、
・作るのに人員と手間、時間がかかる
・コンクリート等に比べて水に弱く、強度や耐久性に劣る
・経年変化で表面にデコボコが出やすくなる

このデメリットを補うために古代コンクリートを使ってみようと考えた。古代コンクリートは『たたき』のメリットを有しつつもそのデメリットを補ってくれるからである。
実はこの古代コンクリートはエジプトのピラミッドのブロックのつなぎ目1mmにも使われており、ローマ時代にも使われてきたことから『ローマンコンクリート』とも呼ばれている。
その後ヨーロッパやロシアの巨大建築物にも使われてきたが、産業革命移行、現在のコンクリートが出現することで、徐々に使われなくなっていった。
現代においてその原料や調合方法のレシピは完全に失われ、不思議なことにそれを伝えるべき職人もいなくなってしまった。
この素晴らしい技術がなぜ失われたのだろうかとよくよく考えた結果、これもデープステートによって抹消されてしまったのだと考えると納得がいく。
なぜなら、この技術から出来る建造物は水や海水にも強く、それどころ海水に漬かるほど強度を増し、千年を超える耐久性を持っからである。
現代のコンクリートと比較するとその特徴は何もかも真逆であることから、地球環境を長い時間かけて悪化させることを知っている存在がそれを推し進めてきたとしか言いようがない。



テストピース
左は『たたき』の材料で3年前に作ったが、屋外放置ですでに劣化。
右は古代コンクリート。半年前に作って屋外に放置。
硬さは現代のコンクリートとほぼ同じ。
あと3年後に結果が明確になるだろう。


1/12/2023

古代コンクリートを作る

 なぜ古代コンクリートは何千年も壊れないのだろうか?

今日使われない理由は?


古代コンクリートを作るにはまず、火山灰・石灰・海水を混ぜてモルタルを作製し、それをコンクリートの骨材となる軽石と混ぜて型枠内に流し込みます。

火山灰と海水と生石灰が混ざると、結合能力を持つ化合物が生成されるポゾラン反応が発生し、凝灰岩ができる時の要領で人工の岩が完成するわけです。


では、なぜこんなにも古代コンクリート(ローマン・コンクリート)の耐久性が高いのかという化学的理由は。

現在一般的に使われているコンクリートは製造過程で大量の石油を消費します。それによって石油産業が維持できるようになっています。

こんな石油依存の時代が200年も続くと地球環境はボロボロになってきています。


現在のコンクリートは200年ほど前に発明された(ポルトランドセメント)に砂・砕石を混ぜてできてます。水と反応するとすぐに固まるので工期が短かくて済む半面、寿命が短い。サイクルが短いので関連する業界は潤いやすいのです。

それに対して古代コンクリートは混ぜた後、ゆっくり化学反応が進み、長期にわたって強度が増していく特徴があります。

その代わり、一度施工するとほぼ永久的に地上に残り石化していくので現代文明の産業は成り立ちません。石灰岩や貝殻を焼く窯と火山灰と海水があればできるので、巨大な工場など必要なく家庭で古代産業を興すことができるのです。


そこで私もこのコンクリートについて学び研究し実験することにしました。


骨材とモルタルの間のミネラルの連晶がヒビを防ぐということにあるそうです。現代のコンクリートの骨材の表面は化学反応を起こさないので構造物が長くなるほどヒビが入りやすいのです。

化学反応の過程でアルミナトバモライトが成長することでコンクリートはより硬さを増していきます。

長期にわたって成長しながら硬さを徐々に増していく。まるで生きている有機的な岩ですね。

この『成長』は現代では一般的に悪い意味で捉えられる「腐食」のプロセスにあたるそうですが、これを利用して古代のコンクリートはさらに強度を上げるというわけです。


材料は生石灰+火山灰+海水の三点だけです。

または、

生石灰の代りに焼成した貝殻でもかまいません。つまり科学的成分(酸化カルシウム)が同じであるからです。

また海水の替わりに荒塩とにがりを溶かした水でもかまいません。

構造材に使う場合はより強度を持たせるために以上の混合物に軽石やレンガを砕いたものなど吸水吸着が良く軽い材質のものを混ぜます。

ちなみに日本の三和土(たたき)はこの消石灰に粘土と水を混ぜたものです。

水の代わりに海水を混ぜると、海岸の護岸工事の際は抜群の耐久性と耐食性が保たれます。

粘土と火山灰では混ぜた時の化学反応が違うので耐久性・耐候性はそれぞれ異なってくるでしょう。


【注意】間違って生石灰の代わりに消石灰とかの他の名称の石灰を入れても固まりません。実は一昨年、私はこの実験に取り組み消石灰を使ってみましたが、屋外に置いておくと数カ月でボロボロになって崩れました。化学反応が全く違うのでしょう。

【参照サイト・動画】
石灰、生石灰、消石灰、苦土石灰、有機石灰の違い 

https://www.harusa-life.com/knowledge/tuchi/post-25.html

How To Make Roman Concrete

https://youtu.be/tOhAfaFboNU

How To Make Improvised Roman Concrete (Corporal-Crete) https://youtu.be/qj7kr2ho800

PRIMITIVE SKILLS: How To Make Roman Concrete (ancient concrete)
https://youtu.be/CcWmpe-Jpao

生石灰の入手先:粉末-生石灰【20kg】

https://www.tama5ya.jp/product/1523