10/06/2009

フォルメン線描


ケルト文様を始め、縄文土器、インカの装飾品の他、古代文明の文様には共通の世界観もしくは空間把握のパターンが存在する。
右の図はその共通の要素を抽出したパターンの一つで、フォルメン線描とも言われている。
シュタイナー教育ではこの線描を用いて繰り返しパターンを身に付け創作を行なっている。眺め、曲線を描き、その線の流れを思考に浸透させる。線を描くことでその周りの空間も同時に引き寄せていくことを感じる。その空間は自らの空間を突き抜け再び戻ってくる。
そうすることでこの線描には、人の思考をほぐす役割がある。
通常の社会生活の思考パターンでは、思考はややもすると周りの非有機的な空間に影響されて遮断された三次元空間へと押しこめられる。ドアを開けても常に同様の空間が永遠に続く。たとえ豊な自然の中におかれても思考の開放が継続することはまれである。
思考は本来、自分自身を常に見つめることでバランスを保つ。しかし空間の外に解き放つことのない思考は己がどのような状態か、何者なのかさえ知ることを困難にさせる。
我々文明はこのフォルメン線描を代表とする縄目式文様を単なる装飾というカテゴリーで収めている。しかし、そこにはユークリッド幾何学の概念とは異なった図柄によって、それらを想像する人々の幾何学的思考が読み取れ、いまだ知られていない知識や気付きを与えてくれる。それは宇宙観であり、そこから事物の力・エネルギーをどのように捉えているかが伝わってくる。





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